事情により風柱と恋仲になりました。

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チラリと視線を落とすと、未だ繋がれている手。
ソレをモゾモゾと動かす不死川さん。


今度は何だと思っていれば、私の指と不死川さんのしっかりと節のある指が…………


絡められた。


しかも、痛い…。そんなに力入れないで…？
痛みを逃がすように、私も力を込め、押し返すと不死川さんの手に更に力が籠る。
　

何で？！？！？！
痛いんですが…！


ナニコレ。地味に嫌がらせされてるじゃん！
それとも何？突然の握力勝負を挑まれてる!?!?


クソ…負けねぇぞ…！って！なんでやねーん！
本気で不死川さんに握られたら今頃複雑骨折やっちゅうねん！



…………………



ヒィィ…！
ノリツッコミだけでもキツイのに…！
今世紀最大の身震いするようなとんでもなく面白くない事を…。恥ずかしい…！恥ずかしすぎる!
穴があったら入りたい!!!



全ては不死川さんの所為だ！
私にとんだ赤っ恥をかかせて…！
何なんだ！この地味な嫌がらせは!!!



口は悪いし、悪役顔だし、隊士2、30人刻んでそうだし、顔怖い(2回目)ではあるが、不死川さんは性根は腐ってないと思っていたのに…！



人の見えない所、地味な嫌がらせをする奴は陰湿だ、性根が腐ってるって死んだおばあちゃんが言っていた。



不死川さん…本当はとんでもない性悪か？

まさか…ここまで計算して…
嫌がらせ目的で恋仲になった、とか…？



コイツ…と眉と口をひん曲げて下からねめつけると、奴はそっぽを向いた。


なぜ耳が赤くなっているんだ…
睨まれて喜んでんのか？どえむか？


こんな性悪どえむと恋仲になるなんて御免被る。
恋仲になったつもりはないが、別れる！即刻別れる!!!


とは言え、こちらの手違いで恋文を渡してしまった。
正直に『実は不死川さん宛じゃないんですよね☆だ、か、ら！不死川さんの素敵なカンチガイだったんですぅ〜♡きゃー！不死川さんってば中々恥ずかしい人ですねっ！』


なんて言えば、彼の自尊心を傷つけてしまうかもしれない。
男は皆自尊心の塊だと死んだおばあちゃんも言っていたしな…

例え性悪でも人を傷つけていい事にはならない。


それに…だ。
こんな事を言ったら、彼は揶揄されたと日輪刀を抜きかねない。


それは、避けたい！
無惨を倒してもいない、煉獄さんに想いを伝えてもいないのに、こんな所では死ねない…！


変な因縁を残すと後々面倒だ。


ここは、円滑に別れる為に！
不死川さんの方から振らせよう!!!




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