有限会社クロニクル (ページ3)

今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:620 hit

ひととなりページ3

＊

【性格】
表面上は日本文化に興味深々な典型的外国人で、お上りさんが丸わかり。
初めてみるものへの大げさなリアクション(手が出る。痛い)は無邪気な子供を思わせる。
が、実際は己の価値観を絶対とし、それに基づいて行動する効率主義者。
障害となるものがあれば、避けるのではなく排除する方向で動く脳筋(いんてりじぇんす)。
一方、一度居ついた場所(あるいは人)には執着を持つらしく、自身で去ると決めるまではのらりくらりと居座り続ける図太さがある。つまり、ちゃんと猫も被れる。

また、彼女と接する際に気を付ける点は二つ。

一つは「希死念慮を口にすること」。
考えるだけなら彼女に気に留める余地はないが、言葉にしたのなら口撃は必至。酷いときには病院送りもやぶさかではない。
多分、日本じゃなかったら半殺しは免れなかった。
殆ど反射みたいなものらしく、どっちかといえば病院に行くべきは彼女の方だが、注射を嫌がる犬よりも盛大に暴れ散らすので注意が必要。

もう一つは「食事を粗末に扱うこと」。
腐ってしまったものや明らかに食べられないものは除いて、食べ物を"気分じゃない"と捨てたりすると怒る。ぷんすこと怒る。
文化の違いと分かっていても、日本の"可食可能なモノ"が廃棄処分となる現状には納得がいかない様子。
なお、本人は味覚に障害を抱えているためほとんど味がわからない。
それでも持参のカトラリーで米粒一つ残さず食べる。律儀である。

上記の内容と手持ちのお菓子(わいろ)さえ忘れなれば、彼女と友好的な関係を築くのは難しくない。

※

彼女の価値観の芯にあるものは【どんな人間も、死んだら誰もが肉袋】というもの。
これは彼女が戦争孤児として生まれ育ち、少年兵まがいの幼少期を過ごすという経歴からきている。
彼女が自らその過去を語ることはないが、本当に最悪な状況下で生きながらえる為に死んだ少年兵の一人を○○○ことがトラウマとなり、上記の価値観を植え付け、重度の味覚障害を引き起こすに至ったらしい。
その後、目立つ容姿ながらも戦場で死に絶えることなく、運よく慈善活動家の目について養子にもらわれたことをきっかけにどん底からは抜け出した。
しかし、"普通"に生きるには彼女が抱えた歪みは大きく、恵まれた暮らしから飛び出した。
それから4年。自暴自棄と自己保身という矛盾する衝動の赴くままに、かつて培った技術を生かして彼女は"用心棒(ようへい)"として様々な場所を渡り歩いた。

※