過去の時間 １４時間目 ページ14
.
この学院に来て、少しだけ楽しみが出来た。
(あ、また……)
音楽室から聞こえてくる、ピアノの音。
不思議と心地よくなる。いつまでも聴いていたいと思う、そんな音だった。
よく聴こえるようになってからは、私の安らぎとなり、楽しみの一つとなっていた。
(一体、誰が弾いているんだろう……)
興味本位で、ピアノの音色が聞こえる音楽室のドアを、静かに開く。
オレンジ色の髪。黄緑色の瞳は、鍵盤を追ってゆらゆらと動いていた。
(月永くんだったんだ)
意外な人物だと思った。
けれど、パワフルかつ繊細な音色は、彼にピッタリだとも思った。
「ん？」
「あっ」
バチッと、目が合った。
どうしたものかと内心焦っていると、彼は笑って言った。
「わはは！そんなところで立ってないで、入ってくればいいのに！」
「音色が聴こえてきて覗いちゃっただけだから。あ、邪魔ならすぐに戻るね！」
「いいっていいって！ほら！」
おいでおいで、と彼は手招きをする。
それに導かれるように、私は静かにドアを閉め、彼に近付いた。
「セナがな！ダンスの授業とかの度に、お前の事をよく話すんだ！おれ、お前とあまり話したことないから、話してみたいって思ってた！」
(え、瀬名くんが？)
確かに、この時期から瀬名くんとよくいる事が多くなったと自覚していた。
嬉しそうに、話してくれてたんだ……
「そう思ってもらえて嬉しいよ。私も、月永くんとはあまり話さないから、話してみたかった」
「そうかそうか！以心伝心ってやつか？」
「んー。多分、違うと思う」
ここで話すまで、少し月永くんは怖いイメージがあった。
けれど、実際はすごく親しみやすくて、すごく面白くて、すごく優しい人。
______________だから、彼がいなくなった時の悲しみや寂しさは、すごく大きかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 512人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「暗殺教室」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
今宵(プロフ) - 一気読みさせていただきました！任務がどう関わっていくか楽しみです！！ (2022年10月10日 21時) (
レス) @page27 id: 6c82ee2695 (このIDを非表示/違反報告)
yuki(プロフ) - 任務についてどうなっていくのか気になります (2022年7月26日 2時) (レス) @page27 id: 17169564a0 (このIDを非表示/違反報告)
愛那 - 暗殺教室もあんスタも大好きなので嬉しいです！！更新頑張っください！楽しみににしています！！！ (2020年4月19日 12時) (レス) id: d42bf818f3 (このIDを非表示/違反報告)
Yy(プロフ) - 暗殺教室もあんスタも大好きなので最高すぎました← 続きがとても楽しみです！！更新頑張って下さい！♪ (2020年4月5日 21時) (レス) id: 4c46a4a080 (このIDを非表示/違反報告)
レナナミル♪(プロフ) - Edenが出てる！暗殺教室とのクロスオーバー面白いです！ (2020年4月5日 14時) (レス) id: aefdd45bb5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：水神友花 | 作成日時：2018年7月3日 13時
