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近くのファミレスに入り、普段は食べないオシャレなサラダを頼んでみた。聞いたことのない横文字だらけだったが、このファミレスならきっと大丈夫、なはず。
「お兄さん、お名前は…？」
「重岡大毅」
「だ、だいきっ…！？！！」
思わず立ち上がると、大毅さんは「うん、だいき」なんてキョトン顔。
「ま、マジモンの王子様や…」
「王子様…？？」
気づけば口から漏れていて、思わず口を抑える。ダイキそっくりだと思っていたけれど、まさか名前も同じだなんて。もうコレ、運命以外の何物でもない。
「だ、だい……大毅、さんは」
「ん？」
「映画に出る気は、ありますか」
まだ頼んだサラダも来ていないのに、早計だったかもしれない。
「君、やっぱ怪しいな」
「です、よね……」
「逆にこんなに怪しい人初めてやわ」
他にもこういった経験があるのかと聞いてみたら、ナンパや芸能界のスカウトなどいくつも受けたことがあるらしい。こんなにかっこいいのだから無理もないか。
「大毅さん、は…王子様を信じるのって馬鹿馬鹿しいと思いますか？」
「君、脈絡なさすぎやろ」
「ご…ごめんなさい……」
んーん、全然。って微笑む大毅さんは、俺の中のダイキと解釈一致しすぎてて動揺するしかない。
「別、信じるのは自由やと思うけど」
「ほんまですか…！」
「でも、だからってここに来るまで王子様について熱弁されても困る」
ここに来るまで、何とか話題を繋ごうと絞り出したのがそれしかなくて、つい熱く語ってしまったのだが。やはり良くなかったか。
「君の、王子様に対する熱は伝わったで」
俺でよければやったる、大毅さんの満面の笑みはやはり向日葵みたいで、つい魅入ってしまった。あまりの顔の良さと、ダイキにそっくりだってことに今ようやく脳が追いついたようで、顔が一気に熱くなる。
「どっドリンクバー取ってきます…！」
彼の顔を見ないようにと急いだせいで、俺の靴が脱げる。俺が気づくより先に大毅さんが拾った。
振り返ると、大毅さんが足出してと言うから、指示されるがまま右足をつき出す。丁寧な手つきで靴を履かせる姿は、王子様にしか見えなかった。
「ガラスの靴って珍しいな」
「自分で作ったんです」
「え！そうなん？何のために…？」
跪いていた大毅さんが立ち上がる。
「大毅さんに、出会うためです」
「やっぱ君、怪しさ満点やわ」
くしゃっと笑った大毅さんは何よりも輝いて見えて、このガラスの靴が導いてくれたんだと確信した。
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みさき(プロフ) - 初めまして。おすすめに出てきたので一気に読ませてもらいました！赤緑推しにはたまらない短編集ですね！とくに高嶺の緑くん。出会いから追っていきたい2人だなとすごく思いました！推しカップルです笑素敵な作品ありがとうございます！ (2023年2月10日 15時) (
レス) @page35 id: 06114767fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アサレ | 作成日時：2021年9月25日 18時
