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大会から数日後、智洋は風邪で寝込んでしまった。朝からずっと俺が付きっきりで看病をしている。
両親は共働きだし、今日の授業はそんなに大事じゃないし。そもそも、智洋の看病をするのは俺以外いない。
「…だいき、ごめん」
「智洋謝りすぎやって」
なんだか最近智洋に謝らせてばかりな気がする。こんなでは、智洋の隣にいる者として失格だ。
智洋を不安にさせずに、申し訳ない気持ちにさせないで、ずっと笑顔で、幸せでいてほしい。智洋が幸せなら周りのことなんてどうでもいい。不幸の上に幸は成り立たないというけれど、そのツキは俺が背負うから問題ない。何も。
智洋が首元に手をやって、「ないんやった…」と呟いた。数日前から、智洋が毎日付けていたネックレスが失くなったのだ。俺が誕生日にお小遣いで買ったもので、智洋らしいデザインだからと俺自身も気に入っていた。
恐らく、あいつが勝手に取り上げたのだろうけれど、智洋は俺のことを案じているのか口には出さない。
「…俺、向いてへんのかなぁ」
「なにが…？」
「ダンス」
何を言えば智洋の不安を拭えるのか、智洋の求めてる言葉は何か。そう考える前に喉から勝手に出てきた言葉は「そんなことない」なんて陳腐な言葉だった。
慌てて、智洋の努力は俺が知ってるだとか諦めるにはまだ早いとか、言葉を重ねる度に庸列になっていく。
「大毅はなんでいつも俺のこと心配してくれんの？」
赤くなり、汗ばんだ肌をそのままに、智洋がこちらを向いた。下がった眉毛と蕩けた瞳が愛らしくて、今すぐにでも食べてしまいたかった。
「それは……将来、俺が智洋の夫になるからや」
それは確定的な未来。
「…なんやそれ」
智洋は笑って、寝返りを打った。そのときインターホンが鳴り、惜しみながらも俺は玄関のドアを開けた。
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みさき(プロフ) - 初めまして。おすすめに出てきたので一気に読ませてもらいました！赤緑推しにはたまらない短編集ですね！とくに高嶺の緑くん。出会いから追っていきたい2人だなとすごく思いました！推しカップルです笑素敵な作品ありがとうございます！ (2023年2月10日 15時) (
レス) @page35 id: 06114767fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アサレ | 作成日時：2021年9月25日 18時
