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「一生懸命話したらね、絶対聞いてくれるよ。
ね、勝己。」
そう言って斜め後方の高い藪の方を振り返ったサクヤお姉ちゃんに驚いた。
ガサリと葉を揺らしてポケットに手を突っ込んだ仏頂面が現れた。
それを指さしてサクヤお姉ちゃんは「心配で追いかけて来たんだよ。」とにこにこ言った。
おず、と真幌が進み出て、「あの...さっきはごめんなさい....。」と言うと、横から活真も「僕も...ごめんなさい。」と項垂れた。
「もうすんな。」
静かにひと言、そっぽを向きながら言った吊り目を見て、少し胸を撫でおろす。
ね？と相変わらずサクヤお姉ちゃんは嬉しそうに笑んでいる。
「さ、もう暗いし。みんなで帰ろう？」
サクヤは微笑んで、その両手を差し出した。真幌と活真は思わずその白い手を取った。今は居ない、母の手の温もりを思い出していた。
「でも先に帰っててって言ったのに。」
「女子供だけで夜道歩かせられっか。」
それを聞いてサクヤの頬が淡く桃色に染まった。バクゴーの口の端も緩く上がっていて首を傾げた。
「２人は恋人なの？」
率直に言うと慌て始めたサクヤを差し置いて「おー」と満足気にバクゴーが答えた。
「そっ、それより出久は？」
「先に帰した。」
「...どうやって？」
「...爆風に乗せて。」
「もうっ。」
そんなやり取りを見ながら、仲、いいんだな、とぼんやり思った。
見慣れた家の側の外灯に差し掛かって、あそこ！僕たちの家！と活真が嬉しそうに声を上げた。サクヤちゃんはにっこり私たちに向かって笑って言った。
「さぁ、じゃぁ今日はもう遅いから、しっかり歯を磨いて、ゆっくり寝るのよ。
そうしたら、今度、私たちの事務所に遊びにおいでね。みんな喜ぶわ。」
その言葉に活真はもちろん、自分の顔も輝いたことに真幌は気付いた。やわらかくて、あたたかいサクヤお姉ちゃんが、いつの間にか大好きになっていた。
「「うんっっ！」」
小さな手を振るその姿が切れ、玄関ドアが閉まったのを見送った後、２人はゆっくりと踵を返した。
おもむろに触れる大きな手にサクヤは小さく口を開いた。
「...ふふ、なぁに？」
「別に。いいだろ、誰か居るとお前が嫌がんだしよ。」
「....さっきは、真幌ちゃんと活真くんに取られてたから、淋しくなった？」
「るせぇなぁ、黙って手ぇ握っとけ。」
ふふ、と笑い声とぬくもりが溶ける、心地よい闇夜の帰路を辿った。
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泉(プロフ) - Lavenさん» サクヤは本名ではなくヒーロー名なので、ヒーロー活動中はヒーロー名表記を心掛けております。シーン表現として加味していただければと思います。 (2023年3月19日 23時) (
レス) id: 250c48e64a (このIDを非表示/違反報告)
Laven(プロフ) - 名前がサクヤって表示されたり、自分が入力した名前になったり分かりずらいです…｡ (2023年3月19日 22時) (レス) id: 0953f1e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
泉(プロフ) - 墨香さん» すみちゃぁぁぁぁいつもありがと...！ほんと、いつも君の言葉は私を掬い上げてくれる。筆をとったこと、後悔しないようにしてくれてありがとう。一緒に楽しめるように、がんばる。 (2022年6月20日 21時) (レス) id: 250c48e64a (このIDを非表示/違反報告)
泉(プロフ) - じゃんみくさん» ありがとうございます！！サクヤにものすごいクソデカ感情を抱いて下さってるのめちゃくちゃ嬉しいです*楽しんでもらえるように、したいなぁ。 (2022年6月20日 21時) (レス) id: 250c48e64a (このIDを非表示/違反報告)
泉(プロフ) - えぬさん» ありがとうございます！もしやエスプレッソ100票の方！？違ったらごめんなさい。Twitterやってます！izumi_morningですよろしくお願いします！せっっ先生！？なんて恐れ多いですが嬉しすぎます！ぜひお声かけて下さい* (2022年6月20日 21時) (レス) id: 250c48e64a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：泉 | 作成日時：2022年6月19日 17時
