第五話 ページ9
昼休み。
あの後、教室に戻ると、意外にも誰も追及はしてこなかった。
まあ登校して早々逃げ出した私に、何かを言おうとしてもまた逃げられると判断されたのだろう。
本当に、ずっとそのままでお願いします。
あまり突っつかないで欲しい。
だって私は好きじゃないから。
「A〜!購買行こ」
『小春。うん、行こう』
そして、今日は弁当じゃないのか、小春にそう誘われたため席を立つ。
教室には居づらかったから、有難い。
弁当箱を持ち上げて、彼女と共に廊下を歩く。
やけに視線を感じるのは、多分、想像通り。
一組の前を通りかかったとき、なんとなく教室内へ視線を向けると、見覚えのある銀髪を見つけた。
その隣に並ぶ金髪も、一緒に。
すぐに不味い、と感じて目を逸らそうとしたものの、間に合わず。
『(──あ。)』
「!」
目が、合った。
綺麗なチャコールグレイ。
相変わらず、整った顔立ち。
その頬についた米粒と、驚きから喜びに変化する表情。
『(大食いだって、聞いたことはあったけど。)』
モグモグと咀嚼しながら、付いている米粒に気づかずに食べ続けている様子は少し、可愛らしくて。
子供みたい、と思った。
不愛想な印象とは、ほど遠く。
軽く会釈だけして、指先でつん、と己の頬をついて知らせる。
米、ついてますよ。と。
「A?」
『あ、ごめん。』
そうするうちに、小春に呼ばれてハッとする。
不思議そうに首を傾げる彼女に謝り、すぐにその背を追った。
「? なんやったんやろ。かわええけど」
「…あ、治、米ついてる」
「!? ………めっちゃ恥ずい」
「ドンマイ(笑)」
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宮兄弟推し - 推し=恋愛対象の人間です。宮兄弟ガチ恋勢(わい)には、たまらん作品です。ありがとうございました! (5月18日 20時) (レス) @page28 id: e2e9177bef (このIDを非表示/違反報告)
風矢@二次元待ち(プロフ) - とても幸せな小説でした。おつかれさまです! (2023年2月21日 15時) (レス) @page28 id: 8fd965734e (このIDを非表示/違反報告)
にゃん吉(プロフ) - 胸がギュンってなりました🤦♀これからも応援してます!更新頑張ってください🙇🏻 (2022年11月23日 3時) (レス) @page21 id: 4862dc7ef3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:音琥 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/jjijwihief/
作成日時:2022年11月19日 18時