MAKE 85 ページ20
「ドッペルゲンガーですかぁ…。お姉さん、博愛ですねぇ。」
「うーん、博識じゃないかな。」
別に不平等に人を愛する訳じゃないけど、私は皆大好きなんて思う程よくできた人間じゃない。
「とりあえず、立ちましょう。」
「あっ、なんか目線上向きだなって思ったら。あたし転んだんでしたね!」
「……はぁ…。」
つい、呆れてため息が出てしまった。
「やだっ、お姉さんったら!あたしがため息が出る程の美人だからって、ため息ついたら幸せ逃げますよ!あっ、あたし美少女だからお姉さんもめちゃくちゃキレイっすよ!!」
だって顔そっくりだもん!
馬鹿なことを言いながら自力で立ち上がる彼女を冷めた目で見つめる。
役立たずとなった自分の手はポケットに突っ込んだ。
ちなみに、先程のため息は断じてこの子が美人だからではない。
「あたし、
「……朝霧、A。」
実におかしな出会いだった。
「えっ、お姉さん17歳ですか!?やっぱり歳上だったんだぁ……あたしは15ですよ。花の受験生!」
私達以外、誰もいない公園。
自己紹介のあと、すぐ近くの公園に移動して私達は会話をしていた。
談笑というほど楽しくはない。楽しいのは相手だけだ。
「ところで、名前なんて呼べばいいです?いつまでもお姉さんだと……あ、あたしは全然構いませんがね!」
「いいよ、自由で。」
「ほんとー!?えーっと、じゃあ…。」
どうしよっかなー、と言いながら顔を緩める。
よく笑う子だ。私だって笑わない訳じゃないけど、なんだか次元が違う。笑顔が輝いている。
もしかして、彼女はこの世界の私だろうか。
理由はないが、そう考えるとなんだかしっくりした。
しかし、そうだとするとあまりに似ていない。いや、顔はほぼ同一人物だけど。
私と比べて、彼女は明るすぎるのだ。
「ねぇ!」
「…何、決まった?」
楽しそうな声に思考の海から引き上げられる。
うん!と弾んだ声が、なんだか心地好い。
「あのね、『アサギー』!」
「却下。Aさんね。」
この時私は心底嫌そうな顔をしていたと後に琴音は語る。

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きくさぶなそれ(プロフ) - 作品自体は何年も前のものなのでコメントするのはちょっとアレかなと思ったんですけど......あなた様の書くAPHの続きが読みたいです!!最近ではアニメ7期も来てたし、ヘタリア初のキャラブック発売するしで最近再熱したんですけどやっぱり続きめちゃ気になります!!! (2021年11月11日 17時) (レス) @page33 id: 422828d005 (このIDを非表示/違反報告)
響(プロフ) - これってもう更新されないのですか? 続きが気になるのですが…… (2017年9月26日 6時) (レス) id: f561f07911 (このIDを非表示/違反報告)
影雪 - あの、突然すみません!結構前?にあった『海賊紳士と非日常』のアーロン君と主人公ちゃんの小説を書いていただけませんか?アーロン君が転生してアーサーさんと再会し主人公ちゃんに惚れ直す…?みたいな話で出来ればオチもアーロン君で…突然すみませんでした!! (2017年8月31日 0時) (レス) id: dc73484863 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠 - すごく面白かったです。続き楽しみにしてます。 (2016年12月10日 5時) (レス) id: 00e0536328 (このIDを非表示/違反報告)
世界領 - とっても面白いです!更新待ってます (2016年10月25日 22時) (レス) id: 3aaa89a69c (このIDを非表示/違反報告)
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