1 ページ1
段々と、空が白んできた。
郊外の大きな道路脇に佇むネオンと、空の薄暗いグラデーションがいよいよ夜の終わりを感じさせる。僕らはバンの中で寄り添って薄目を開き、アリーナツアーのため日本を目指していた。仕事で現地に入っているテミニを除き、早朝の飛行機に乗る予定だ。
助手席にはジンギヒョン。
隣にはキボミヒョン、後部座席には
懸命に腕を伸ばし、僕の肩に頭をあずけ目を閉じているキボミヒョンとツーショットを……
「ちょっと、スッピンの盗撮やめて」
親指でシャッターを押す瞬間、目をつり上げてカメラの前に手のひらを伸ばしてきた彼は、目深にニット帽を被って反対側に頭を倒してしまった。
「兄さんのスッピン、可愛いのに…」
「ヒョンに向かって可愛いとはなんだ」
「全力で褒めてるんです、喜んで」
「ヒョンを褒めるだなんて生意気、お前はいつからテミニになったの」
「…んうぅ、るさい」
キボミヒョンとしばしの攻防をしていると、不意に後部座席で子犬が鳴いた。
ジョンヒョニヒョンだ。眠りの浅いこのヒョンは、きっと眠れてなんかいないだろうけど、眠る努力を邪魔してしまったことが申し訳ない。
車内に再び沈黙が訪れた。
すっかり寝る体勢のキボミヒョンの手をそっと握って、ヒョンの眠気で温まった手のひらを触りながら、僕だってと意気込んで目を閉じた。
再び目を開くと、ターミナルに向かう空港敷地内の道路が見えた。空はすっかり明るく、朝がやってきている。隣のヒョンは既に起床していたらしく、ブルーライトを車内に広げて、誇らしげに笑っている。
「…ええ、兄さん、」
「無防備に寝てるお前、可愛かったから」
眠る前には見られなかったマスクを装着して、口を開けて眠る僕とのツーショット。
SNSに掲載された1枚には瞬く間にコメントとハートが広がってゆくのだった。
153人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うさみみ(プロフ) - えみ様はじめまして♪続きはまだですか?もっと読みたいです (2018年9月2日 1時) (レス) id: 1190039706 (このIDを非表示/違反報告)
えみ(プロフ) - セティ様 はじめまして。このような文章に感想を頂き、本当に嬉しく、そして励みになります。なかなか更新出来ませんが、完結を目指して投稿致します。お付き合い頂けましたら幸いです。 (2018年3月13日 16時) (レス) id: 9d750210cd (このIDを非表示/違反報告)
セティ(プロフ) - えみ様、はじめまして。SHINeeの男主人公の物語楽しみにしております。今後、どうなるのかワクワクしております。 (2018年3月2日 0時) (レス) id: 679e7bc534 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:えみ | 作成日時:2018年2月19日 17時