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「 叔父さん"達"って、ちゃっかり俺らも入ってるじゃん……A君……だっけ?それ持つよ 」
今まであまり会話に参加してこなかった、マスクをつけた鼻声気味の男性も足元の袋をサッと手に取る。
それに続き、残りの二人もさも当たり前のように袋を持ち上げ、足元には何もない状態になった。
『 あ、はいAです……って、そんな……皆さんにご迷惑おかけする訳には……!』
自分で運べるので本当に大丈夫です、と止めても皆さんは視線を逸らしてしまってとりあってくれない。
「 んな気にすんなって。で、家どこ?」
案内してくんね?と背の高い男性にそう聞かれ、もう諦めるしかないと思い、
『 ……こっちです 』
と皆さんを誘導する。
その時に、少しだけ皆さんと会話出来て楽しい時間を過ごせた。
__________
それから十分後。
『 本当にありがとうございました……!』
マンションの自室の玄関に入って頂き、彼らのおかげで無事に荷物を持ち帰ることができた。
先程は迷惑を掛けたくないから断っていたけど、改めて考えてみればあの量を一人で運ぶのは到底無理だったと思う。
スーパーから家までは徒歩十五分程で、遠くはないけど特別近くもない距離だったので本当に助かった。
態々運ばせてしまって申し訳ないが、叔父さん達には感謝しかない。
ぺこりと頭を下げてお礼を述べれば、いいよいいよと叔父さんが笑って返してきた。
「 お役に立てて何より〜。……あ、もう九時近いな。まだ話してたかったけど……俺らそろそろ行くね?」
ごめんね、と付け加えた叔父さん。
( ……本当だ。そういえば皆さん、ご飯を食べに行く予定だったんだっけ…… )
今更ながら申し訳ないことをしてしまったな、と反省する。
「 うわ、いつの間にかそんな時間経ってたのか。俺もAと話してたかったわ 」
全然気づかなかった、といつの間にか呼び捨てしていた(勿論いいけれど)眼鏡の男性の言葉に続き、
「 えー折角A君と話してたのに……残念やね 」
「 ……また会える?」
鼻声気味の男性は残念そうに、背の高い男性は何故か真剣な表情でそう聞いてきた。
『 ……えぇと、おそらく……?』
彼らの事もよく知らないので、確証はないけれど。
意図は分からないが、叔父さんの知り合いなら彼経由でいけそう。
( ……本当にどうしてそう聞いてきたのかは、分からないけども )
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りんご - すごく面白いです!続きを楽しみに待ってます!! (2022年12月3日 19時) (レス) id: 574ad41434 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:千利休 | 作成日時:2022年3月10日 2時