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太宰side
国木田「彼奴は何者だ?」
Aが早々に探偵社を後にした時、ずっと面食らっていた国木田くんが口を開いた
私はというと、彼女が座っていたソファに溶けるように寝転んでいた
嵌められた気分だ
昔からそうだ
Aは周りの迷惑なんて意に返さない
好きなように動き、好きなように相手をおちょくり、自分のペースに持ち込む
あぁ嫌いだ
大っ嫌いだ
国木田「…少しは俺の気持ちがわかったか」
太宰「何か言った?国木田くん」
国木田「いや、なにも。それで彼奴は…」
太宰「彼女が言っていた通りポートマフィアだよ。尋問や拷問を専門にしてるね…」
Aの異能力、『生れいづる悩み』は精神操作系の異能だ
簡単に言うと相手の痛覚と恐怖を支配する
実に拷問向きだ
太宰「Aの手にかかればね、どんなに口が堅い奴でも意味が無いのさ。身に巣食う恐怖とはそう簡単に飼い慣らせるものではない」
国木田「…それはお前もか?太宰」
国木田くんの問いに笑みだけ返す
その答えは私にもわからない
生まれてこの方、身が震える程の恐怖というものを感じたことがないのだ
私が私でなければAの異能でそれを感じることが出来ただろうが…
そんなのは夢物語にすぎない
答えはわからないままだ
太宰「国木田くん、面白いことを教えよう」
口許を緩めそう言うと、眉を寄せた国木田くんと視線が合った
どうせまたろくな事ではないのだろう、という目をしている
太宰「Aの中に恐怖という感情はない」
国木田「…そんなことが有り得るのか?」
太宰「有り得る。最も、制御出来ない異能の恩恵とでも言おうか」
恐怖も痛みも、Aはわからない
だからこそ、Aは求めた
異能を無効化し痛みを与えてくれる存在を…
太宰「Aは恐怖にも痛みにも疎い。だからこそ彼女の拷問は万人に効くのだよ。彼女の中じゃ痛いか痛くないか、怖いか怖くないかの2択しかないからね」
国木田「…それがなんだ?何故俺にそんなことを…」
太宰「嫌がらせだよ。私を道具のように扱って好き勝手したAへの嫌がらせ。Aは自分が人として未完成なのを気にしてるのだよ。だから知られたくないんだ、恐怖も痛みもわからないことを」
国木田「その嫌がらせに俺は付き合わされた訳か」
太宰「そう!そして国木田くんが彼女の秘密を知ったとAが知ったらきっと口止めにくるよ!感想聞かせてね!!」
国木田「…は?」
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