検索窓
今日:2 hit、昨日:21 hit、合計:52,376 hit

#5 ページ6

太宰side


国木田「彼奴は何者だ?」


Aが早々に探偵社を後にした時、ずっと面食らっていた国木田くんが口を開いた

私はというと、彼女が座っていたソファに溶けるように寝転んでいた


嵌められた気分だ

昔からそうだ

Aは周りの迷惑なんて意に返さない

好きなように動き、好きなように相手をおちょくり、自分のペースに持ち込む

あぁ嫌いだ

大っ嫌いだ



国木田「…少しは俺の気持ちがわかったか」

太宰「何か言った?国木田くん」

国木田「いや、なにも。それで彼奴は…」

太宰「彼女が言っていた通りポートマフィアだよ。尋問や拷問を専門にしてるね…」



Aの異能力、『生れいづる悩み』は精神操作系の異能だ

簡単に言うと相手の痛覚と恐怖を支配する

実に拷問向きだ



太宰「Aの手にかかればね、どんなに口が堅い奴でも意味が無いのさ。身に巣食う恐怖とはそう簡単に飼い慣らせるものではない」


国木田「…それはお前もか?太宰」



国木田くんの問いに笑みだけ返す

その答えは私にもわからない

生まれてこの方、身が震える程の恐怖というものを感じたことがないのだ

私が私でなければAの異能でそれを感じることが出来ただろうが…

そんなのは夢物語にすぎない

答えはわからないままだ



太宰「国木田くん、面白いことを教えよう」



口許を緩めそう言うと、眉を寄せた国木田くんと視線が合った

どうせまたろくな事ではないのだろう、という目をしている



太宰「Aの中に恐怖という感情はない」

国木田「…そんなことが有り得るのか?」

太宰「有り得る。最も、制御出来ない異能の恩恵とでも言おうか」



恐怖も痛みも、Aはわからない

だからこそ、Aは求めた

異能を無効化し痛みを与えてくれる存在を…



太宰「Aは恐怖にも痛みにも疎い。だからこそ彼女の拷問は万人に効くのだよ。彼女の中じゃ痛いか痛くないか、怖いか怖くないかの2択しかないからね」

国木田「…それがなんだ?何故俺にそんなことを…」

太宰「嫌がらせだよ。私を道具のように扱って好き勝手したAへの嫌がらせ。Aは自分が人として未完成なのを気にしてるのだよ。だから知られたくないんだ、恐怖も痛みもわからないことを」

国木田「その嫌がらせに俺は付き合わされた訳か」

太宰「そう!そして国木田くんが彼女の秘密を知ったとAが知ったらきっと口止めにくるよ!感想聞かせてね!!」


国木田「…は?」

#6→←#4



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (84 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
78人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:エバ。 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年5月16日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。