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#3 ページ4

太宰side


ポートマフィアを馘首になった。


ありえない事に思わず眉が寄る

ポートマフィアの馘首が表すのはただ1つ、“死”だ

Aが生きているのも不可解であるし、こんな白昼堂々外を歩けているのもありえない話なのだ

考えるよりその恋文とやらを読んだ方が早いだろう

そう思った太宰は、Aの前に手を差し出し手紙を受け取る


封を開け、便箋を開けばたった1行しか綴られていなかった









ーー彼女を殺せーー









実に単純明快だ

誰がどう見ても捉え方は一通りであろう

不愉快な指令に太宰の眉間の皺は更に刻まれる


太宰にとってAは煩わしい人物であったが、同時に友でもあった

悪友という名の友ではあったが、この手で殺すのは躊躇う程の仲だ




太宰「…何やらかしたの」




どうしたらポートマフィアを馘首になり、その後始末が自分に回ってくるのか

実に不快であった


そもそも有島Aという人物はただの構成員ではない

何年も前から組織に貢献してきたある種の専門家(スペシャリスト)

準幹部程の地位はあったはずである

余程なにかやらかしたに違いない

太宰はそう思ったが当の本人のAは涼しい顔をしていた




A「いつも通り出勤したら首領に呼び出されて宣告された」




不思議なこともあるものだ、と茶をすするAに、思わず呆れた視線を送る

そうであった。この有島Aという女は恐怖において疎いのだ

自身の命の危機であろうと、茶をすすり団子まで食すだろう

否、むしろ跳ねて喜ぶかもしれない

この変人は痛みこそが生者の証というのだ

私に首を絞めろだの殴れだの強要してきたのだって…

刹那、恍惚としたAの顔が頭を過り、思わず顔が歪んだ




A「私はその手紙の内容は知らない。だけど、予想は着く。それでだ太宰、頼みがある」




いつもなら一方的に要求を突きつけてくるAだ

こんな前置きを作るなんて何事か、と耳を傾ける



A「人を探してくれまいか?」


太宰「驚いた…てっきりまたあの気色悪いお願いをされるのかと…」


A「気色悪いだなんて心外だ」


太宰「だって、君はいつだって口を開けばそうだったじゃないか」




どこで会っても第一発声は首を絞めてくれだの、打拳をくれだの

中也ですら引くほどに…





A「フン…死ぬ時死ねばいい。ただ今は生きていたいってだけさ」

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作者名:エバ。 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年5月16日 12時

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