#23 ページ24
太宰side
A「君とこうして肩を並べて街を歩くなんて、変な気分だ。太宰」
ビルを後にし、目的地へと向かうため街へ出た
気が重い私とは裏腹に、隣を歩くAは今にもスキップをはじめそうだ
Aの言う通り、こうして共に街を歩くことなんてなかった
任務が一緒にならなかったということもあるが、そもそもAはビルから外に滅多にでない人物であった
大半をあの部屋で過ごし、それ以外だと姐さんとお茶をしていたり、働く黒服をつまらなさそうに眺めていた
太宰「珍しく私も同意見だ」
拗ねたようにそう言うと、Aはニコリと笑った
相変わらず読めない笑みだ
何を考えているのかてんでわからない
A｢太宰。私が首領とした取引を知りたいかい？｣
おもむろにそう言ったA
さっきは秘密だとか言っていたのに…
嗚呼…落ち着かないのはAも一緒か
太宰｢…大方、君の処遇についての取引だろう｣
A｢その通り。首領は、私が異能生命体であろうと仕事を続けてもらう心算だった。これでも私はポートマフィアにとって大きな資金源だ｣
｢手放すのは惜しく思われた｣と言い、Aは喉の奥をくつくつと鳴らした
彼女の言う資金源とは、暴力を貨幣とした際のものだ
｢マフィアの本質は暴力を貨幣とした経済行為体である｣と森さんが言っていた
Aの異能は中也とは異なる別の暴力だ
重要視されてることは感じていたさ
A｢どんなに必要だと言われようと、私の気持ちは靡かない。私はこんな
得意顔でそう語るA
でも実際は違う…
森さんがそんな取引を受けるわけがない
2人が交わした取引内容はきっとこうだ
『Aが他者の手で消失すればAは自由に、期限以内に消失しなければ仕事を続ける』
私はそれに巻き込まれたんだ
森さんはAが私の元を訪れるのを知っていた
だから『彼女を殺せ』なんて手紙を寄越したんだ
そんな遠回しなことをしなくたって私がAを殺せるわけがないのに…
否、もしかすると森さんは本当に…
A｢さぁ、目的地に着いたよ｣
Aの声に深い思考の海から這い上がる
視線をAへ向けると彼女は、覚悟はいいかい？と首を傾げて見せた
終わりの時が来たようだーーー
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