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#19 ページ20

太宰side


くだらない話をしていると、捕らえた男を連れた黒服がやってきた

随分時間がかかったものだ…


目隠しをされ、口に布を噛まされている男は、黒服により部屋に備え付けられている椅子に座らされた

怯えているようだけれど、どこか満ち足りた雰囲気を出している


入ってきた男をまじまじと見るA

他人に興味のないAが珍しい…

しばらくすると、Aは小さく「あ…」と零した




中也「どうした」


A「…いや、なにも」


太宰「この男に見覚えが?」


A「…生きてたんだ」


中也「手前まさか」


太宰「…呆れた」




不本意ながら中也と揃ってAに視線を送る

呆れて何も言えないとは正しくこの事だ


Aの悪癖は怪我を見せつけてくるだけではない

捕らえた捕虜を拷問の後逃がすことがあるのだ

無論そのことは森さんも知っている

知っていて黙認しているのだ

逃げた奴が報復のつもりで街中でAに襲いかかろうもんなら、大して戦闘力もないAは息付く暇もなくやられる

それを危惧して私も中也もやめろと散々言ってきたのに…

どうやらまだやっていたらしい

嗚呼、呆れた




太宰「ちょっと中也、配慮が足りないんじゃない?」


中也「勝手に消えた奴がなにほざいてやがる」




Aが逃がした捕虜を抹殺するのは私か中也が担っていた

つまり私が消えたあと、中也がそれを成すべきなのだ


Aの死に少なからず関わっていたことを理解したのか、男を見る中也の目付きが鋭くなった

まぁ事の大半はAが悪いのだが、中也も2割くらい悪い

Aのことを理解してない証拠だ




太宰「中也の目を盗んで何人逃がしたの」


A「中也が他所へ行ってる間に1人か2人…あと数週間前に1人…」


太宰「この男は?」


A「数週間前かな。この人は運がいいみたい」




ニコリと笑いそう言ったAの声に、男が反応した

布を噛ませているため何を言っているかは分からないが、どうやら何かに歓喜しているようだ

中也が黒服に男の目隠しを外すように促すと、男はAの方を向き大粒の涙を浮かべた

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作者名:エバ。 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年5月16日 12時

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