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「太宰さんはいますか?」
前触れもなく武装探偵社の扉が大きく開け放たれ、静かな女性の声が社内に響いた
やってきたのは若い女性だ
スラリと背が高く、海の底のような静けさを持っていた
突然の来訪者に探偵社員一同、思わず女性を見て瞬きをする
そんな彼等を意に返さず、女性は自身の右手を覆う包帯を直した
どうやら扉を開けた時にズレてしまったらしい
「…ご要件はなんでしょう」
いち早く状況を飲み込んだ国木田が口を開く
だが、これまでの経験から佳い予感はしていなかった
太宰を尋ねてここまできた女性は1人や2人じゃないのだ
また彼奴はなにかしでかしたようだ
女性が望むなら喜んであの唐変木を差し出そう
何故毎度俺があの迷惑噴射機の尻拭いをせなばならんのか
国木田はフツフツと怒りを感じていた
「嗚呼、失礼。あの死にたがりに手紙を持ってきたのです」
手紙。
それは予想外であった
拍子が抜けたように国木田の眼鏡がズレた
女性は人差し指と中指で黒い封筒を挟み、ヒラヒラと振ってみせる
その封筒はポートマフィアの首領が好んで使っているものだった
「失礼ですが、貴女は?」
「有島です。有島A。ポートマフィアで拷問を専門としていました」
にこやかに自己紹介をしたA
しかし内容はなかなかに物騒であった
国木田が手帳に手を伸ばすのも無理はないだろう
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