。〔末澤side〕 ページ24
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末「もしもし？」
「あっ、もしもし、誠也くん？」
末「A！？Aやな！？今どこにおんねん」
電話越しに聞くAの声はいつも通りやった。
「ごめんなさい連絡返せなくて」
末「そんなんええから、今どこにおるん？」
「今は大阪駅です。さっきまで携帯ショップにいて」
末「迎えに行くからそこから動かんといて」
Aの返事も聞かずに電話を切り、急いで車を出した。
「どうしたんですか？」
車に乗り込んできたAは呑気にそんな質問をしてくる。
末「どうしたって、お前こそなんで黙ってたん」
それだけでなんの事を言ってるのか分かったらしく、Aの顔には一瞬にして暗い影がさした。
「、、行ったんですね」
末「行ったよ。管理人さんから受け取った手紙も、悪いけど勝手に読んだ」
Aは何も言わなかった。
末「なんで言わんかったん。俺そんな頼りない？」
そう言うと頭を横に振って、少しの沈黙の後、消え入りそうな声で話し始めた。
「そうじゃなくて、、ただ、、負けたくなくて」
震える声で話しながらも、Aは必死に泣くのを我慢しているように見えた。
「アンチが多いのは初めから分かってたし、手紙が家に届くのは引っ越せば解決するし、無言電話も番号解約すれば大丈夫やし」
末「そういう問題ちゃうやん。今は大丈夫かもしれんけど、今後Aがもっと危ない目にあうかもしれへんって考えたことないの？」
いつも自分より他の人を守ろうとするAに、今回ばかりは少しだけ腹が立ち、口調が少し強くなってしまう。
「出来る訳ないじゃないですか、、だって、、」
そこまで言って、Aの目から涙が零れ落ちた。
それ以上Aは何も言わんかった。
でも俺にはなんとなく、Aの言おうとした事が分かった。
だって、、
嫌がらせの犯人が俺のファンやったから。
Aはグループに必要ない
早くAぇ!groupから脱退して俺の前から消えてくれ
AのせいでAぇ!groupがデビュー出来ない
俺が読んだ手紙にはそんな事が書いてあった。
俺のファンが嫌がらせをしてるって知ったら、俺が責任を感じてしまうと思ったんやろな。
末「ごめん、もう怒らへんから」
「ごめんなさい、、誠也くん」
俺は、隣で泣き続けるAに手を伸ばし、優しく抱き寄せた。
末「優しすぎんねん、Aは」
少しだけ腕の力を強める。
末「もう大丈夫や、次は俺が守ったる」
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作者名：あさとわ | 作成日時：2022年8月18日 20時
