未定 (ページ16)

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お風呂に入って寝る支度を整えた頃、机の上にあったスマホが鳴り出した。

呼び出し画面には『末澤くん』の文字

どうしたんやろ、と思いつつ電話を耳に当てる。

末『もしもしA？ごめんもう寝てた？』

「いや、まだ起きてました」

『そっか、良かった』

電話越しに聞く末澤くんの声はいつもより少し低いけど、聞いててすごく心地よくて、、

「どうしたんですか？」

末『今ってビデオ通話に出来る？』

「大丈夫ですよ」

スマホを離しビデオ通話に切り替えると─────

『どう？』

「あっ！付けてくれはったんですね！」

そこには今日プレゼントしたばっかりの歌舞伎メイクのパックをつけてくれている末澤くんが写っていた。

「めっちゃ似合ってます笑」

末『これに似合うとかあんの？笑』

「ありますよ！基本日本人顔の人しか似合わないですから」

末『それ褒めてくれてるんやんな！？』

しばらく他愛もないことを話し、気がつくとあっという間に時間が経っていた。

末『もう1時過ぎてるやん。明日も仕事やしそろそろ寝よか』

「はい、じゃあまた明日」

末『おやすみA』

「おやすみなさい、、、誠也くん」

『──！！今呼んでくれたよな！？もう1回お願い』

「おやすみなさい！！」

なんだか恥ずかしくて、先輩の電話を切ってしまった。

これは当分名前呼びは無理かもしれんな。

一方では、25歳の誕生日を迎えたばかりのいい大人が嬉しさのあまり放心状態になっていた。

「破壊力ありすぎやろ、、」

年に一度の特別な日が、
Aのおかげでさらに特別で、一生忘れられないであろう日になった。