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「な、なんでここに……」
「講義室の窓からユリ先輩が連れてかれるのが見えたんです。……それで、今何しようとしてました?」
これまで聞いたことの無いソクジン君の声に、俺は息を飲んだ。
普段俺と喋る時は明るくて優しい感じなのに、そんなもの一切感じさせないほど冷たくて、聞いてるだけでこっちが怖くなってくるほどだった。
「ハッ、ナイト気取りか?イケメン君よ。そんな男女相手にして何が楽しいんだ?」
「もしかして好きとか?そいつ教授とも寝てるって噂あるから、頼んだら寝させてくれるかもよ」
ゲラゲラと下品な笑い声をあげる男達。
教授と寝てるという噂は、俺が成績上位なのと、一時ある事情でとある教授に家まで送ってもらっていたことがあり、そのせいで流れている噂だ。
俺にとっては聞き慣れてるもので、今更傷ついたりしない。
――でも、ソクジン君は違った。
「……………」
「そ、ソクジン君。私なら大丈夫だから」
ソクジン君が無表情で男たちを睨みつけている。
目に明らかに怒りの感情が見えて、今にも殴りかかりそうな雰囲気を感じた。
別に平気なのに、ソクジン君が怒っていることに俺は非常に焦った。
大学内で暴力沙汰なんてバレたら大変なことになる。
良くて謹慎処分、悪くて停学や退学処分を食らう可能性だってある。
俺のせいでソクジン君がそんなことになったら謝って済む問題じゃない。
「……全然大丈夫じゃないです。ユリ先輩の努力も知らないのに、ただ馬鹿にするような奴ら、僕は許せない」
だから止めようとしたのに、ソクジン君がそんなことを言うから、俺は一瞬思考が止まってしまった。
「なんだ?やるのか?殴れるなら殴ってみろよ!!このモヤシ野郎!!」
「この………!!」
「っ、やめろ!!ソクジナ!!」
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作者名：萩焼 | 作成日時：2022年10月2日 21時
