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「図書委員の仕事どうだった?人来なかっただろ?」
「あ、いえ。1人だけ来て……」
「え、マジ?もしかしてキム・ユリ?」
次の日、先輩に仕事がどうだったか聞かれたとき、知らない名前を出された。
名前はわからなくてと答えたら、すっごい美少女見たいな男と言われて、あの人だとすぐに分かった。
「はー、マジか。お前いきなりキム・ユリに会うなんて災難だったな」
「さ、災難?どうしてですか?」
「あいつが来ると絶対最後までいるから、早く帰れねえんだよ。塾あるやつも早く行けないし、最初はあの姿見れるだけでいいって言ってる奴も段々不満になってきて、キム・ユリが来たらハズレの日だって言ってる」
やっぱりあの人は有名な人らしい。
名前はキム・ユリ、学年は3年生。
「男子校に来た天使」や「初恋キラー」など、様々なあだ名が付けられてるらしい。
成績は優秀で、毎回上位10位以内に入ってるんだとか。
本人には知られていないらしいが、密かにファンクラブが存在するほど人気な人らしかった。
そんなに人気な人なのに、図書委員からは不人気だなんて意外だった。
まあ、そもそも仕事なんだからそういう不満を言うのは間違ってる気がしたけど、それは言わないでおいた。
「あの、よかったら放課後、僕が毎日出ましょうか。部活と塾入ってないですし」
「え!?マジ!?それなら他の奴らもめちゃくちゃ助かるよ。一応先生に話聞いてみるわ」
それから先生の許可を得て、僕は毎日放課後の図書室の戸締りを担当することになった。
自分でも、よくあんなこと言ったなって思う。
でも、家に帰ってもずーっとあの人の姿が頭から離れなくて、夢にまで出てきてしまったのだ。
こんなこと生まれて初めてで、どうしていいか分からなかったけど、少しでもユリ先輩に近づきたいって思ったから、後悔していなかった。
当時はどうしてこんな気持ちになるのか分からなかったけど、今ならわかる。
僕はあの時、ユリ先輩に一目惚れしたんだって。
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作者名：萩焼 | 作成日時：2022年10月2日 21時
