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サンダルを履き、2人を起こさないように静かに扉を開ける。


ふわっと、私の肌を撫でるように吹いている風。


「こんばんは、かぶき町」


私は、夜のかぶき町に挨拶をする。


まだ夜だと言うのに、昼のように明るい。


さすが、都会。


お昼よりも、空気が気持ちいい気がする。


……そんな時、またあの悩みが頭の中を埋める。


「ねぇ、かぶき町さん、私は…私は、ここにいても、いいのかな」


なんて、かぶき町に話しかけても何も返ってこないことは分かっている。


だけど、だけれども、誰かにこの悩みを聞いて欲しい、けど言ったら止められそうで、私が前に進めないような気がして、なんか嫌だ。


「あーあ!なんで私って産まれたときから不幸なんだろうな!」


さっきよりも少し大きめの声で叫ぶように言う。


貧乏で、親も早くに亡くなって、好きな人には嫌われている。


不幸の他、言う言葉がない。


「お母さん、私このまま生きてていいのかな。なんか、もう…私なんていなくてもいいんじゃないかって思うよ…」


今度はお母さんに問いかける。


これももちろん、返事は返ってこな…
「生きてていいんじゃねェか」


…え


後ろを振り向くと、さっきまでいびきをかきながら寝ていた銀さんの姿が。


「え、起きて、たんですか?」


そう言うと、まァなという声が返ってくる。


え、いつから?いつからいた?全然気づかなかった。


「あの、いつから…」


「お母さんがどうのこうのの頃から」


…最初からって訳じゃなかったんだ。


「どうしたん、ですか? 眠れないんですか?」


「おめェが出てったのに気づいてな、んで、頭覚ましてからきた」


じゃあ、出てった時から、気づいてたってこと?


…なんか、恥ずかしいな。


瞬間、ビュッと吹く風。


その風に耐えられず、くしゃみを出してしまう。


好きな人、の前なのに、恥ずかしい。


そこにふわっとくる、暖かい温もり。


「…へ?」


「さみィだろ、少しだけでいい、こうしてろ」


抱きしめ、られてらっしゃられ、る…?!


色々な恥ずかしさでもう頭がパンクそうだ。


押し退ける気にもなれず、じっとそのままの状態でいる。


目の前に銀さんの胸元が見え、思わず下を向く。


顔がどんどん熱くなる。


なんで、いつもみたいに冷たくないんですか…?









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あい(プロフ) - 夢主を探している、ぎんさんのside見てみたいです!更新楽しみにしてます (2019年7月24日 23時) (レス) id: 6a8167697e (このIDを非表示/違反報告)
美闇 - 面白いです!頑張ってください!! (2019年7月23日 11時) (レス) id: 9b2e6e7bfa (このIDを非表示/違反報告)
月歌(プロフ) - これからの展開が楽しみです……!!! (2019年7月20日 23時) (レス) id: 8fe6acde2e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:恋歌 | 作成日時:2019年7月19日 18時

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