． ページ35
「私、岩本くんと一緒にご飯食べれて嬉しかった」
『……は？』
彼女の言っている意味が最初、よく分からなかった
思い出に浸るような言い方に、
嫌な予感が当たらないでくれと祈るように胸が鳴る
「高２の最初、屋上で初めて会ったよね？
…岩本くんが来て、ちょっと驚いた。
誰も来ないと思ってたから。
けど、話してみて思ったの。この人、優しい人なんだーって。
可愛いものが好きっていうのも、教えてくれた時嬉しかった。
私と岩本くんだけの秘密みたいで」
『っ…………』
彼女の言葉一つ一つが嬉しいはずなのに、
今はそれが胸に刺さって痛かった
…まるで、別れを連想させるようで
すぐにでもAの口を塞ぎたかった
けど、それは強ばった今の体では動くことさえ出来ない
「私のお弁当、美味しそうって言って食べた時も幸せそうな笑顔
見れて本当に嬉かったよ。
……私ね、ちゃんとお友達ができたの、岩本くんが初めてなの」
『……………』
「お友達といるのこんなに楽しいんだーって、
初めて知れて嬉しかった」
そう言って笑顔で言うA
その笑顔は少し、引きつっていた
…無理して笑っているのが分かり、辛くて俯いた
「……あのね、岩本くん」
俯いた俺に気づいて、声のトーンが落ちる
顔を見なくても、どんな表情か分かってしまう
「…私ね、」
彼女が放つ言葉のスピードはいつもと変わらないはずなのに、
すごく遅く感じた
何も言わないでくれ…これ以上
この幸せを知ってしまった今の俺にとって、
これから起こるであろう事態を乗り越えられる自信が無かった
だから、彼女の言葉を止めようとした
『待って』
「一緒にお昼食べれるの今日で最後だと思う」
自分でも驚くほどその声は小さく、弱々しかった
言われた言葉をすぐに理解出来なかった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 635人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夕雪(プロフ) - おこりさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけてとても嬉しいです。無事戻ってきました！ (2021年11月27日 14時) (
レス) id: c1927b0662 (このIDを非表示/違反報告)
おこり(プロフ) - ご自身のペースでどうぞゆっくり。気長にお待ちしています^_^ (2021年11月5日 6時) (レス) @page41 id: b4f52a5ea8 (このIDを非表示/違反報告)
夕雪(プロフ) - みきさん» コメントありがとうございます！楽しみにしててくださいね。 (2021年11月3日 18時) (レス) id: c1927b0662 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - ハッピーエンド、期待しています。 (2021年11月3日 0時) (レス) @page40 id: cefd7f5dc8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夕雪 | 作成日時：2021年10月16日 21時
