雨は真実を示す ページ10
〜土方side〜
見廻り中、突然の雨に見舞われた。
お陰で煙草は吸えなくなるし、帰れもしねぇ。
仕方無く、近くの軒下で雨を凌ごうと駆け込んだ。
するとそこに、同じ境遇らしき奴が見えた。
言えた義理はねぇが、大丈夫かと声を掛けた。
そこで気付いた。相手が局長の恋人である事に。
「お仕事中でしたか。」
「ああ。…ったく、本格的に降り出してきやがった...」
段々と強くなっていく雨を眺めながら、何気無く煙草に手を伸ばした。
…だが、その手を引いた。
この雨の所為もあって苛々するが、流石にこの状況では吸えねぇな。
そう思い、代わりに、ずっと疑問に思っていた事を口にする。
「1つ聞いても良いか。」
「ええ、勿論。」
「…アンタは、何であの人を選んだんだ。」
近藤さんから報告された時は、柄にも無く驚いた。
俺達からしたら、所帯持ってくれて喜ばしい事だし、相手も全然問題ないのだが、其処だけがどうしても引っ掛かっていた。
正直言ってあの人は、
ゴリラ、おっさん、変態、ストーカー…
女に嫌われる要素を全部詰め込んだ様な人だ。
実際、前の想い人には、その所為で散々拒絶され、
挙げ句の果てには存在否定。
そうで無くても、女にはずっと振られ続けてきた。
だが、それと同様に、
心の誠実さ、人柄の良さは、人一倍ある人でもある。
しかし、後者をしっかり見た奴は、ほんの一握り。
だから、前者しか見た事ねぇ奴は、あの人を単なる変態ストーカーと捉える。
だが、この人は違った。
何方もしっかり見た上で、この人を選んだ。
今までと違う、とても真っ直ぐな人だと思った。
「…あの人を隣で支えたい、少しでも、あの人が寄りかかれる柱になりたい...心からそう思えたから。…という理由では、不足でしょうか。」
「いや、充分過ぎる応えだ。…ありがとな。」
慣れない笑みを向けると、同じ様に微笑み返す。
伸びをすると同時に、空を見上げる。
通り雨だったらしく、綺麗な青空が目に飛び込んで来た。
「それでは、私はこれで。お仕事頑張って下さい。」
「ああ。今度手合わせ頼むわ。」
「は、はい。」
晴れた心を引っ提げ、見廻りを再開した。
再開後、一度も煙草を吸わなかった。
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アルナ(プロフ) - ハニーさん» 返信遅くなってすみません。こちらにもコメントありがとうございます!最近色々なアニメに目移りしておりますが、近藤さん愛だけは健在です! (2019年1月13日 21時) (レス) id: 75328b6a43 (このIDを非表示/違反報告)
ハニー - 近藤さん大好き(*≧∀≦*) (2018年11月11日 9時) (レス) id: f040ea1a18 (このIDを非表示/違反報告)
アルナ(プロフ) - 黒にゃんさん» 遅くなってしまい申し訳ありません。コメントありがとうございます。嬉しいお言葉ありがとうございます。私も同意見です笑 最近私情でなかなか書けないのですが、これからも見てやって頂けると幸いです。是非これからも、宜しくお願いします! (2018年9月8日 21時) (レス) id: 5f5aa2a205 (このIDを非表示/違反報告)
黒にゃん - いい話ですね。近藤さんには幸せになってほしいです! (2018年8月31日 7時) (レス) id: 77c8698518 (このIDを非表示/違反報告)
アルナ(プロフ) - 桜華さん» コメントありがとうございます。どの話を選んでも、和んで頂ける様に頑張ってます!これからも作者共々、宜しくお願いします!私も銀魂2観たいなー笑 (2018年8月21日 22時) (レス) id: 5f5aa2a205 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アルナ | 作成日時:2018年6月23日 16時