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それは復讐か否か【遠江衛】 ページ37

「めんどくさい任務だなァ」

 俺は今から、昔から英雄である/これから英雄を目指す彼らの心をへし折りに行く。……なァんて、普通からすれば馬鹿馬鹿しい真似なんだろうけどヨ。でも誰かがそうしなきゃならない。誰かが悪役にならなければいけないのは、この世界の誰もが知り、かつ背を向けていることだろう。そんな役目を、所謂嫌われものの役目を、俺は……俺たちは引き受けた。
 『英雄(ひーろー)には、悪役(俺達)が必要なのだ』と、はじめて会った主君(ぼす)に伝えたような気もする。……誰もが知る事実。俺は、それから目を背けることはできない。

「アンタらはそうは思わねェの?」

 そう俺が引き連れてきた部下たちに問えば、当然のように首をかしげる。彼らは面倒な任務だなんて思っちゃいないんだろう。……足軽にゃ、理解はできないらしい。

「……そーかい、思わねェのかい」
「だけどよぉ、中佐。俺たちゃオーバードーズ(悪役)だぜ?英雄を潰してこそだろうが」

 部下のひとりがそう告げる。それを切り口にしてか、他の面々も賛同するように声をあげる。……まったく、こいつらを引き連れるのも骨がおれる。
 俺は懐にいれていたクナイを1本取り出すと、はじめに口を開いた部下の方へ投げつけた。動かなければ、怪我はしないような位置に。俺の動きが見えなかったのか、案の定そいつは動くことすらせず、自分の顔の横を過ぎていったクナイに数テンポ遅れて反応した。

「……あのヨ、俺は別にいいんだ。そういう考えだってうけてやるサ。でもナ、勘違いするのはいけねェ。……俺達は、悪役なんだヨ。英雄(ひーろー)の踏み台になる、悪役。……舐めたことばっか言ってると、足元掬われンぜ。俺もおまえらに下手な怪我してもらいたくねェし、死んでもらうのも困るンでな。ガキだろうが、相手は英雄(ひーろー)。犬死にだけは勘弁だぜ」

 そう言えば、部下たちは当たり前のように黙りこむ。……強く言い過ぎたか? とは思ったが、口にすることはなく、俺は静かに賑わう商店街の方を向いた。

「……さて、と。今回もド派手にやられてきますかネ」

 そうするしか、ないンだ。俺達は、きっと。

同意、その先に【庵治 炎寿】→←離ればなれは辛いです【王咲 導】



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雨読@低浮上…?なのか?(プロフ) - まだ四十八話だったのですが、続編の考査編へ移行させていただきます!これからも宜しくお願い致します! (2020年7月26日 16時) (レス) id: 10653b224c (このIDを非表示/違反報告)
雨司@多忙(プロフ) - 更新しました。 (2020年7月10日 13時) (レス) id: 10653b224c (このIDを非表示/違反報告)
雨司@多忙(プロフ) - 更新します。 (2020年7月10日 8時) (レス) id: 10653b224c (このIDを非表示/違反報告)
雨司@元ユリイ(プロフ) - 更新しました。 (2020年6月30日 18時) (レス) id: 2b687b1169 (このIDを非表示/違反報告)
雨司@元ユリイ(プロフ) - お久しぶりです。更新いたします。 (2020年6月30日 17時) (レス) id: 2b687b1169 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:スカイハイ転生学園一同 x他9人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/sakyomatsu1/  
作成日時:2020年5月12日 16時

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