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暗示と波に沈む【商店街の人々】 ページ28

男は、はぁ、と息をついて恐羅神社の石造りの階段の、下から三段目に腰を下ろした。
彼は下をむき、あからさまに浮かない顔をしていた。
男の名前はバジル。大都市スカイハイで大人気のパン『まほろばみるくぱん』を、唯一発売しているパン屋『ひだまりベーカリー』の店主である。
なぜか落ち込んでいるというと、他の店にはやってきているスカイハイ転生学園の生徒たちが一人も『ひだまりベーカリー」に、職業体験が来ていなかったからだ。
学園の生徒たちをはじめ、いつもバイトをしてくれている鶯崎 林檎でさえも、『ひだまりベーカリー』に来てくれなかったのが彼にとってはショックだったのだ。
 「おや、バジルさんでしたか」
 「おお、グランさん。どうだい、ポワロ劇場は?」
 「うちですか。普通に人が来てますね」
 「そうかい」
羨ましい限りだよ、と言ってバジルは話しかけて来たポワロ劇場のオーナー・グランに羨望の眼差しを向けた。
 「いいよなぁ、人がいるってのは」
ふう、とバジルが肺の底から息を吐きだす。グランはその様子を見て、
 「そんなに良くもありませんよ」
何がおかしいのか、グランはそういうと不気味に「ククッ」と、喉を鳴らした。
彼がつけている張り付いた笑みのお面の奥から、笑い声が漏れる。
見慣れているはずのその笑い。だが、あまりにも不気味で恐ろしいものだから、バジルは身震いをした。
 「ところでよ、あんたのところは順調なのか?」
 「ええ、順調と言ったら順調ですね。そう言ったらの話ですが」
また喉を鳴らすか、と思っていたバジルだったが、いくら待ってもお面の奥から笑いが零れて来ることは無かった。
 「ところでバジルさん。大量摂取はいつ頃やって来るんでしょうかねえ」
 「大量摂取?なんだ、それ?」
日常的に耳にしない言葉に思わず眉を顰めるバジル。いつ頃やって来るのかと言っていたので、さらに眉が八の字型と化す。
グランは、「いやはや、貴方は随分と滑稽な人の様だ」と、おおげさに手を叩きながら再び喉を震わせた。
 「…」
 「まあ、大丈夫ですよ。いずれ判ることですから」
と、グランはポンと絶句している『ひだまりベーカリー』店主の方を叩いた。
バジルには、グランのつけている張り付いた笑みのお面の口角が、にたりと微かに動いた気がした。

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雨読@低浮上…?なのか?(プロフ) - まだ四十八話だったのですが、続編の考査編へ移行させていただきます!これからも宜しくお願い致します! (2020年7月26日 16時) (レス) id: 10653b224c (このIDを非表示/違反報告)
雨司@多忙(プロフ) - 更新しました。 (2020年7月10日 13時) (レス) id: 10653b224c (このIDを非表示/違反報告)
雨司@多忙(プロフ) - 更新します。 (2020年7月10日 8時) (レス) id: 10653b224c (このIDを非表示/違反報告)
雨司@元ユリイ(プロフ) - 更新しました。 (2020年6月30日 18時) (レス) id: 2b687b1169 (このIDを非表示/違反報告)
雨司@元ユリイ(プロフ) - お久しぶりです。更新いたします。 (2020年6月30日 17時) (レス) id: 2b687b1169 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:スカイハイ転生学園一同 x他9人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/sakyomatsu1/  
作成日時:2020年5月12日 16時

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