佐疫＊夏祭り(3) ページ27
｢ここにしようか、ここなら見やすいし、穴場だし｣
｢うん！｣
取った場所はお祭りが開催されるすぐ近くの神社。
階段が多くて登るのは大変だが頂上はめちゃくちゃ眺めが良く、登る人も少ないから周りに人もほとんどいない
ただ、下駄だったから少し靴擦れをしてしまった。まぁこのくらいなら花火が終わるまでには治るだろう。
｢花火見ながら食べたいものとかある？｣
｢もっかいりんご飴食べたい！｣
｢分かった、すぐ近くにあると思うから俺買ってくるよ。Aはここで待ってて？｣
｢うん、ありがとう｣
もう1回あの長い階段を上り下りするというのに、佐疫は自ら行ってくれた
来る途中に買ってくればよかったな…あとでお礼をしよう。そう考えながら、近くの石段に腰をかける。
花火大会始まるまであと15分。
そう言えば去年は別のところでみんなで見たな…あの時はすごい混むところに行っちゃって全然見えなかった。
みんなは背が高くて見えてたけど私は身長が低くてジャンプしながら見てたら佐疫が後ろまで連れてってくれて肩車してくれたんだっけ。
重かっただろうに、佐疫は全然大丈夫そうにしてた。華奢なのにやっぱり男の子だなと思う。
あぁ、そういえば付き合ったのは花火大会の数日後だっけ。
そしたらもうすぐ付き合って1年だ。なにでお祝いしようかな
そんなことを考えながら佐疫を待っていたら
｢あれ、お姉さんこんなとこで1人？｣
｢俺たちと一緒に花火見ない？花火見ながらさ〜あっちの影の方で…ね？｣
｢しかもお姉さんめちゃくちゃ可愛いじゃん！悪いようにはしないからさ、いこーよ｣
知らない男3人組が話しかけてきた。
｢…すみません、連れを待っているので｣
｢えー？いないじゃーん、置いてかれたんじゃないの？｣
｢今飲み物買ってきて貰ってるんで。御遠慮します｣
｢つれないなぁ。まぁそういうとこも可愛いけどさ｣
｢…あっち行ってください｣
｢君鬼でしょ？俺鬼たち抱くの慣れてるんだよね。痛みとか気にしてるんだったら心配しないで！｣
｢なっ…！｣
｢おーおー、顔真っ赤にしちゃってカワイー｣
｢ほらほら、行こーよ！｣
そう言って手を引かれる。こんなやつより力を付けているはずなのに、全く敵わない。どうして。
引かれたときに靴擦れしていた足がもつれて転んでしまった。転んだ衝撃で捻挫もしてしまった。
せっかくの浴衣が汚れてしまった
｢あーあ、大丈夫？お姫様だっこしてあげようか？｣
｢…俺の彼女に何をしている｣
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作者名：ある人 | 作成日時：2021年1月15日 0時
