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木舌*宿泊(2) ページ19

「きゃあっ!?」

急に電気が消えて、私は焦った。
と、同時にピシャーンと雷が轟く。

「きゃぁぁ!!」
「お、落ち着いて赫坂!今行燈貰ってくるから!」


「失礼致します、お客様、こちら停電用の行燈でございます。」
「あ、ありがとうございます。」


真っ暗だった部屋に行燈が灯る。

「…赫坂、雷もしかして嫌い?」
「…いえ、たまたま停電と重なったから少しびっくりしただけです。」


また、大きな音がした

「っ!!」
「…やっぱり嫌いか」
「ち、違います!!寝ますよ!!」

布団に潜って、雷の音が聞こえないように、頭まで被る。
…さっきはそんなに大きな音ではなかったからびっくりしなかったが大きな音は苦手だ。雷は特に。
子供の頃、親に大きくなったら自然に怖くなくなると教わったが、私はいつまでたっても雷が怖いままなのだ。
地獄の鬼が雷が怖いなんて、情けない


雷の音が酷くなっていく。

「…っ」
「手、繋いでいてあげようか?」
「え…」
「手繋ぐだけでだいぶ違うでしょ?」
「な、なんのためにですか、別に、雷が怖いなんてそんなこと…」
「誰だって、怖いもの一つや二つあるだろう?気にしないで。」
「…獄卒が、地獄の鬼が雷が怖いなんて…」
「おれも鬼だけど、怖いもののあるよ?」
「……じゃあ、手だけ。それだけならこの縁を超えても許します」
「うん」

ニコッとして、木舌さんは私の手を握ってくれる。
身長に見合った、大きくてゴツゴツした手だ。

「木舌さん、手大きいですね」
「そう?肋角さんの方がでかいよ?」
「…まぁ、肋角さんが1番でかそうですもんね」

…安心する。

「…どう?変わった?」
「…まぁ」
「それはよかった。
そういえば、今日何気に初めて任務被ったね。赫坂の弓、生で見たの初めてだな〜」
「そういえばそうですね、木舌さんの武器は斧だと聞いていましたが」
「あー、おれだいたい素手で戦えるんだよね、斧重いし、魑魅魍魎だけを倒す任務や『この世』で持ち歩くのが難しい時はだいたい素手だよ。」
「すごいですね」
「いやー、照れますな〜」


手を繋いだ瞬間、急に打ち解けた気がする。

「…それにしても、急に打ち解けたねぇ」
「私も同じこと思ってました。すみません、今日初めて任務が被るから皆さんに木舌さんがどんな人が聞いたらひどいものでしたので、ふざけた人だと思ってました」
「…どんな感じが聞いても?」
「精神保てるなら言いますけど」
「…やめとく」

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作者名:ある人 | 作成日時:2021年1月15日 0時

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