ーー失楽園と楽園ーー 2 (ページ10)

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(YG ver.)

俺の人生どこから間違っていたのだろうか

大して苦労もせず親元の会社で働いて、そこで必要となる取引先とのお見合い結婚をした。

リンは綺麗な人だった。家庭的で、お見合いだと言うのに俺と恋愛をしようと努力してくれていた。

それでも、結婚なんて正直俺にはピンと来なくて。そもそも1人でいるのが好きな俺が誰かと生活をするってことがストレスですらあった。

何一つ向き合う気にも慣れずに投げ出した結婚生活の中で、いや、生きてきた中でAを見つけられたことが人生最大の幸福とですら思えたんだ。

人を好きになるとはどういうことか。愛おしいと思う気持ちはなんなのか。そんなものは全てAが教えてくれていた。

なのに、それなのに…、俺は甘えたんだ。

愛だけを与えてくれるAに、都合よく俺のそばに居てくれるAに、何も言わない。詮索しない、見返りを求めない。ただ無償の愛が俺には嬉しくていつでもそうでいてくれると胡座をかいていた。

あの日、Aをドタキャンしてしまったお詫びとして次の日家に上がった時微かに香る男物の香水の香りに頭を鈍器で殴られたようなそんな感覚に陥った。

上手く息が出来なくて、戸惑う俺はアロマキャンドルだと嘘をついたAを信じたかった。

離れていってしまうという恐怖が心の奥底から迫り来る事に酷く怯えた。