表情の裏の感情＊N＊ (ページ4)

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二宮さんが入ってきて私の席の隣に座る。

あまり話したことが…、いやたぶん全然会話したことがないからとても緊張する。

藤野さんは大丈夫だって言ってたけど、やっぱり少し怖い。

すると二宮さんが私の方を見て口を開く。

和「君、名前なんだっけ」

私「へ？？」

思わぬ発言に、私らしからぬ間抜けな声を出す。

そりゃそうだ。

たくさん人がいる部署の中の一人である私なんかの名前をいちいち覚えている訳ない。

私「あっ、Aです…」

と自己紹介すると何の返事もなく資料に目を通しだす。

何だこの人。

私より無愛想。

自分で言うのもなんだか私以上に無愛想。

だが私も同じような人間なので何も言えない。

きっとそういう人なんだ。

藤野さんは大丈夫と言っていた。

うん、大丈夫。

智「じゃ、会議始めまーす」

相変わらず緩いな大野課長…。

今回のイベントは新しいショッピングモールの化粧品販売促進企画らしい。

会議の話を箇条書きでパソコンに打ち出す。

みんなのペースについていくのに必死だ。

目まぐるしく意見が交わされる。

気付けば会議が終わっていた。

内容なんて覚えられない程の会議だった。

とにかく色んな提案があり、あれほど無口でクールな二宮さんが一番企画を提案していた。

少し驚いた。

会議が終わったのは6時頃。

私は会議の内容をさらにまとめて、藤野さんにチェックしてもらうために、残業をすることにした。

大野課長には明日でもいいと言われたが、この目まぐるしかった内容を覚えておける自信がなく残業をすることにした。