Bittersweet (ページ6)

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ゆっくり歩いているとケーキ屋さんでバレンタインのチョコの値引きセールをしていた。

「あ、チョコって安くなるんだ(笑)」

『まじか(笑)』

「食べる？？笑」

なんて冗談で言ったのに、

『食うか』

って返事した大野くんはどこまでも優しい。

千円のアソートチョコを少し安く買えて、近くの公園のベンチに座って食べることにした。

箱を開けるとハートのチョコが4粒、クローバーのように並べられていた。

「わ、可愛いねこれ」

『ん、いいねこれ』

一粒取って口にほうばる。

「んー、おいしー！あ、キャラメルかな？これ」

『んじゃ、おれこれ』

大野くんも一粒ほうばる。

『ん、にげ(笑)これビターだ(笑)』

「あははっ、良かった(笑)わたしビター苦手だから(笑)」

『Aはミルクチョコ派なんだ？』

「うん、チョコは甘ければ甘い程おいしい！！」

『うん、そうだね(笑)』

そしてもう一粒取って食べる。

「うっ、これもビターだっ」

『んふふっ、はずれ～(笑)』

笑った大野くんも最後の一粒を食べる。

『あ、これミルクチョコや』

「えー、いいなー(笑)」

って笑って溶けたチョコを飲み込んだ瞬間だった。

ちゅっ…、、、、

「んっっ！？」

大野くんに急にキスされた。

びっくりした私は大野くんの肩を押して離れようとするのに、大野くんはそれに負けない力でグッと私の後頭部と背中を抱きしめてキスを続ける。

大野くんの口の中で溶けた甘い甘いミルクチョコが舌を伝って繋がる。

ようやく唇が離れるとニコッと微笑んでる大野くん。

『口ん中甘くなった？』

「はぁ…、はい。あ、あまいです…？」

なんでこんなことしたの？って聞けなかった。

帰ろっかって立ち上がった大野くんは私の手を握りしめて立ち上がらせる。

そして手を引き歩きながら話出す。

『俺と一緒になればいいじゃん』

あまり多くは語らない大野くん。

その言葉が全てだった。

三十路前に大きな幸せをくれた大野くん。

ありがとう。

Fin...