episode26秋side ページ28
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まずい、すっかり忘れていた。
今日はバイトだ……早く帰って着替えなければ。
というか思ったのだが、帰宅する際ご近所さんに見られたらどう思われるのだろう。
俺は幸太郎と2人で住んでいるので、そこに女が来たらどちらかの彼女だとか思われそうだ。
それに、俺の家近辺を万が一クラスのやつでも通ったらどうする?
翌日学校で、あるいはその場で俺や幸太郎が質問攻めにあうか、彼女持ちの噂が流れてしまうと思われる。
それは困るな、と自らの計画の穴に気付かされた。
とりあえず今日は急いで帰って着替えて、その後バイトに行こう。
今は4時半で、バイトは6時半からだから……うん、大丈夫だな。
駅まで走り、4時45分の地下鉄に乗り、自宅の最寄り駅で降りた。
家に着くと、幸太郎は出掛けているのか、ドアには鍵がかかっていたので合鍵で解錠。
バイト先ではどうせ制服になるし、そんなに気合いはいれなくていいか、とパーカーにハーフパンツの雑な格好になった。
今日のバイトは駅前のコンビニだ。
先日、店長に「立花くんが居るとお店に活気があっていいね」と言われた。
俺は接客に向いているのかもしれないな。
先程降りたばかりの最寄り駅から、主要駅へ。
市内……いや、県内で1番大きなその駅を出て、余裕が出来たので腕時計を確認する。
5時37分から、38分に変わるところだった。
まだ時間があるな、とバイト先までは歩くことに。
人の少ない路地裏を通り、喉が渇いたので自販機で缶のココアを購入。
温かいのを選んだのだが、どうも物足りない。
やっぱり、俺の謎の冷え性に1番効くのは人肌か……。
そこではじめて、今日、あまり幸太郎と話していないことに気がついた。
午前中に作戦実行のため電話したのが最後だ。
……寂しいと、そう思うのは甘えだろうか。
復讐のために、早川と仲良くなる。
それは立花秋としてではなく、佐藤ふたばとして。
大嫌いな早川と、親密になる。
……復讐の、ために。
なんだか、とても回りくどい作戦な気がしてきた。
どんどん自作の作戦への不安が浮かび上がり、それを打ち消すように歩く。
気がついたら、もっと細い路地に迷い込んでいた。
全く、俺は何をしているんだ、と踵を返した時。
「やめてください!」
今日も聴いた、馴染みのある声がした。
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綾音日和。@たこむし(プロフ) - 柚李さん» ありがとうございます! 更新頑張ります! (2017年2月21日 19時) (レス) id: 61bdcd300b (このIDを非表示/違反報告)
柚李(プロフ) - テストお疲れ様です! これからも更新頑張ってくださいね! 応援してます♪ (2017年2月21日 17時) (携帯から) (レス) id: 08c9ef1253 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:綾音日和。@たこむし | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/aromalight2/
作成日時:2017年1月19日 21時