episode４２ ページ5
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あ、やばい。
早川の腕の中で、俺は自分と相手の心臓の音に危機感を覚えていた。
俺は先程、段差につまずいてよろめいた。それを早川が受け止めた。
それまでは良かった。問題はそれからだ。
俺が早川から離れられないのである。
早川は温かかった。ただそれだけだが、俺を釘付けにするのには充分すぎた。
「あっ……ご、ごめんね」
「いいえ。怪我してない？ 大丈夫？」
「うん。大丈夫」
離れるための第一歩、顔をあげて軽い謝罪。それでも俺は、まだこのままで居たいと思ってしまう。
何をしているんだ、俺は。
幸太郎が、家で待っていると、分かっているのに。幸太郎の温もりが、俺を暖かくしてくれることが、分かっているのに。
「……どうしたの、ふたばちゃん？ 俺から離れないの？」
離れたいのに、離れようと思っているのに、どうして……俺はまるで磁石のように、目の前のこいつに引き寄せられる。
すっ、と早川が俺の耳元に口を寄せ、呟いた。
「ずっとこのままでも……いいよ」
やっと、行動に移すことが出来た。
全身をぶるりと震わせ、俺は早川をぐいと押し返し、体を離した。
「あれ。なぁんだ、もう終わりかぁ……残念。ふたばちゃん可愛かったんだけどなぁ、すごいプルプルしてて」
「何笑ってるの、やだ、もう、はぁあ恥ずかしかった……」
ははっ、早川がそう笑い、俺は顔を赤くして返事をする。
ふと、背後が遊園地の喧騒より、一際騒がしくなった。何かと思って振り返ると、そこにはここ、イノセントランドのマスコットキャラクター、イノセントバニー丸の着ぐるみが居た。
またしてもイノセントを推してくる。それよりも気になるのはこの意味不明なネーミングセンスだが。
ちなみに、ほとんどの人は愛称のバニまるで呼んでいる。これは遊園地側ではなく、いつの間にか来園者側で浸透しだした愛称だ。
遊園地ごり推しのイノセントの部分は入っていない。
「わぁ、バニまるだー！」
可愛いものが大好きな可愛い女の子、佐藤ふたばは一目散にバニまるへ駆け寄る。
バニまる可愛いもふもふ、と握手をしながらにやにやするふたば。
そんな俺を見て、早川はにこやかに笑っていた。
「写真、お取りしましょうか？」
そんな俺たちを見て、バニまるを従えていた係員が声をかけてきた。
俺は早川と顔を見合わせ、お願いしますとスマホを差し出す。バニまるの右に俺、左に早川。
ハイチーズ、で撮れた写真では、佐藤ふたばが楽しそうに笑っていた。
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綾音日和。@たこむし(プロフ) - 腐った林檎さん» ありがとうございます！なかなか更新できませんが、コメントとても励みになります！ (2017年6月23日 18時) (
レス) id: 88af71ac7b (このIDを非表示/違反報告)
腐った林檎 - 更新頑張ってください！このシリーズ大好きです♪ (2017年6月23日 17時) (レス) id: ad9b3355a7 (このIDを非表示/違反報告)
綾音日和。@たこむし(プロフ) - 抹雨喇らいとさん» ありがとうございます！気づくのが遅くなってすみません、更新頑張ります！ (2017年5月15日 17時) (レス) id: 1e9658af6f (このIDを非表示/違反報告)
抹雨喇らいと - 引っ越すんですか！いろいろと大変かと思いますが更新ファイトです！応援してます(*´∀`)♪ (2017年5月8日 21時) (レス) id: f0fdb2d6f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たこむし | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/aromalight2/
作成日時：2017年4月19日 23時
