episode５０ ページ13
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早川がいいやつなのかもしれない。あれから改心したのかもしれない。そんな『かもしれない』でいっぱいになった脳を整理する。
俺が届かなくて困っていた高いところの本を、何も言っていないのに取ってくれた。道に迷った後輩を、何の見返りも求めず助けた。
不思議だった。俺が知っている早川は、もっとクズで、高飛車で、言葉にとげがある。
「きゃっ、ちょっと、やめて！」
悲鳴にも近いような声。女子の声だ。見ると、よく自分の席で本を読んでいる大人しい女子が、いつも教室の真ん中で騒いでいる女子グループにノートを取り上げられていた。あの大人しい子は確か文芸部だから、小説や詩のネタを書き留めていたのだろうか。
堂々と言えたことではないが、うちのクラスは女子同士の仲が良くない。何個もの少人数グループにわかれて行動し、グループ同士で仲の悪いところがある、そんなクラスなのだ。男子はみんな仲が良いし、男女も仲が良いのに、女子だけが。
「んー、大声で読んじゃおうか！」
大きな声でノートの内容を読みあげようとする派手な女子。度が過ぎるので止めようとしたら、俺よりも一歩先にあいつが現れた。早川だ。
「そういうのよくないと思うよ。本人嫌がってるし。ね？」
ノートを女子の手から取り、持ち主に返した早川。その行動に、俺はさらに困惑した。嘘だ、あいつはそんないいやつじゃない。だって、中学のとき、あんなに。
わけがわからなくなって、教室を出た。
どういうことだ。俺はずっと早川が嫌なやつだと思っていて、嫌いだった。それがそもそも勘違いだったのか。そんなはずはない。バレンタインの恨みを忘れたわけじゃなかったが、早川への負の感情が最初ほどないことを、認めざるを得ない状態だった。
「……なんなんだ。あいつ」
「あいつって誰だ？」
「うわ！」
屋上へ続く階段に座って呟くと、突然独り言が会話になった。驚いて見た先にいたのは優誠だった。
「うわってなんだよ。失礼なだなお前」
「うるさい、驚かせるなよ！」
「で、あいつって誰？」
「優誠は知らなくていいことだ」
早川の話はあまりしたくない。足早に去った俺を、優誠は不思議そうに見ていた。
もうすぐ、体育祭が始まる。
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綾音日和。@たこむし(プロフ) - 腐った林檎さん» ありがとうございます！なかなか更新できませんが、コメントとても励みになります！ (2017年6月23日 18時) (
レス) id: 88af71ac7b (このIDを非表示/違反報告)
腐った林檎 - 更新頑張ってください！このシリーズ大好きです♪ (2017年6月23日 17時) (レス) id: ad9b3355a7 (このIDを非表示/違反報告)
綾音日和。@たこむし(プロフ) - 抹雨喇らいとさん» ありがとうございます！気づくのが遅くなってすみません、更新頑張ります！ (2017年5月15日 17時) (レス) id: 1e9658af6f (このIDを非表示/違反報告)
抹雨喇らいと - 引っ越すんですか！いろいろと大変かと思いますが更新ファイトです！応援してます(*´∀`)♪ (2017年5月8日 21時) (レス) id: f0fdb2d6f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たこむし | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/aromalight2/
作成日時：2017年4月19日 23時
