episode３９ ページ2
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目が覚めた時には、向かいに幸太郎の姿はなかった。
「あー……うわ、腰いてぇ」
椅子に座ったまま居眠りのように寝たからだろう、体中の色んなところが痛む。
決戦の日だというのに、全く、俺は何をやっているんだか。
そこではじめて、ハッとして時計に目を向けた。
９時４７分、良かった、まだ待ち合わせまで時間がある。
「こたろー、居るかー？」
キッチンには居なかったので部屋かと思いドアをノックすると、中から「ん、はぁい」という気の抜けた返事が聴こえた。
ドアノブを回して部屋を覗くと、相変わらず片付いた綺麗な部屋で、幸太郎は眼鏡をかけて何やら紙とにらめっこしている。
「何してんだ？」
「体育祭の横断幕のデザイン考えてたんだ。実行委員と横断幕係で話し合うんだけど、なかなか決まらなくて」
「へー……青組だから海とか空とかイメージすんのか？」
「えっとね、スローガンが蒼志走相なんだけど、どうすればいいかなぁ」
「へー、それでそうしそうあいって読ませるのか。そういや、それ決めた時俺保健室行ってたんだよな」
幸太郎と一緒に考えていると、リビングの時計が１０時を知らせる音を鳴らした。
「うおっ、俺準備しないと。こたろう悪い、また今度な」
「あぁ……うん」
いつもと同じように笑ったはずの幸太郎の笑顔は、なんだか本心を隠した笑みのように見えた。
俺が準備を終えて家を出たのは１１時１５分で、知り合いに会うのを避けるために利用したバスに揺られて待ち合わせ場所まで向かう。
ついたのは１５分前、少し早かったかなと思ったのは一瞬で、噴水広場の柱に寄りかかった早川の余裕な表情が俺に俄然やる気を出させた。
「ごめんね、待った？」
「あれ、はやいね。大丈夫。待ってないよ」
世に言う"イケメンスマイル"を前にしても、俺は動じない。
が、ふたばとしては少しくらい照れた素振りを見せておくのもいいかもしれない。
「っ……」
「どうしたのー、ふたばちゃん」
「な、なんでもない。行こう？」
照れ隠し笑いに見えるようにはにかんで歩き出すと、早川の待って、という声。
振り返ると、左手に温かくて、柔らかくもごつごつした男子の手の感触。
「ねっ、デートっぽいでしょ？」
いたずらっ子のように笑った早川の笑顔に、俺は不覚にも釘付けに……なったりはしない。
考えていたのは、繋いだ手から俺が男だとバレないだろうかという不安だけだった。
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綾音日和。@たこむし(プロフ) - 腐った林檎さん» ありがとうございます！なかなか更新できませんが、コメントとても励みになります！ (2017年6月23日 18時) (
レス) id: 88af71ac7b (このIDを非表示/違反報告)
腐った林檎 - 更新頑張ってください！このシリーズ大好きです♪ (2017年6月23日 17時) (レス) id: ad9b3355a7 (このIDを非表示/違反報告)
綾音日和。@たこむし(プロフ) - 抹雨喇らいとさん» ありがとうございます！気づくのが遅くなってすみません、更新頑張ります！ (2017年5月15日 17時) (レス) id: 1e9658af6f (このIDを非表示/違反報告)
抹雨喇らいと - 引っ越すんですか！いろいろと大変かと思いますが更新ファイトです！応援してます(*´∀`)♪ (2017年5月8日 21時) (レス) id: f0fdb2d6f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たこむし | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/aromalight2/
作成日時：2017年4月19日 23時
