恋は盲目、愛は執着【青の祓魔師】 (ページ39)

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第38話地王と少女ページ39

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『…あ、メッフィーランドなんてどう？可愛いイヌ耳カチューシャつけて、
　こーんな土砂降りの中ジェットコースターに乗って～。
　そのお気に入りのコートも洋服もずぶ濡れのグッチャグチャになる！なんて素敵な休日だろう！』

嫌味たっぷりに言ってみれば、アマイモンは無表情で黙り込んだ。

よし、と心の中でガッツポーズをしたのも束の間。
アマイモンは少し嬉しそうな声色で周りに花を飛ばしながら口を開いた。

「それイイですね」

『……マジか』

しかも、満更でもなさそうだ。

イヌ耳カチューシャつけるんだよ？
彼女でもない私との外出先がメッフィーランドで良いの⁇
君(きみ)は恋愛対象として好きな相手とかいないわけ???

「行先も決まったわけですし早く準備して下さい」

『あ～…。私が言った手前、申し訳ないんだけど
　雨の日にメッフィーランドはちょっと、ねえ？…今日じゃなくても』

「ハイ？じゃあどこに行きたいんですか。早くしないと時間がなくなります」

そう言いながら、アマイモンはワクワクした表情でAを見ている。

―――どうやら、何を言っても無駄なようだ。

Aは半ば諦めて、ソファから半身を気怠げに起こし、目の前にいるアマイモンを見上げた。

上質な素材の赤みがかったコートを着ているアマイモンは
普段とは随分雰囲気が違うように見えた。
勿論、パンク系の服装なのは通常運転だけれど。

何やら朝からバタバタと私の部屋で煩い音がしていたのは、カフェを選んでいたのだろう。
近くに置いてあったパンフレットはAの行きたい喫茶店ばかり載っている。

朝早く起きて、こうして私を待ってくれて。
もう、そんな事をされてしまっては、選択肢なんてないじゃないか。
そう思いながら、Aは諦めたように口を開いた。

『…じゃあ、街に出て散歩してみる？新しくできた喫茶店とか。
　先日、クラスメイトが行ったみたいで、楽しかったって、言ってたから』

「ああ、あそこですか。ボク行ったことあるので案内できます」

『雨だし、今日は近場で良いよ。遠出するのは、また天気の佳い日にしよ！』

「……ハイ。キミがそう言うのであればボクはそれで構いません」

そう言って、アマイモンはソファに座るAに左手を差し出した。

「早く行きましょう」

『…仕方ないな』

そう言ってから、その手を取った。
その日は喫茶店内で大量のデザートを頼む美男美女のカップル(？)が目撃されたそうだ。