恋は盲目、愛は執着【青の祓魔師】 (ページ31)

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第30話増えた友達ページ31

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「ナアマさん、理事長に口添えしてくれてありがとう。僕も助かったよ」

『いや…。流石に二千円は無いな、って思っただけだから』

あの後、もう少しで授業が始まるため別れた。
燐は移動教室があるらしく“用意してねえ!!”と言って走って行ってしまった。
しかし食器洗いなどの後片付けは完璧に終わっていたため“主婦かな？”とAは思った。

着物姿が可愛かったしえみは学校に通っているわけでなく、燐の手伝いに来ていただけ。
“お母さんの仕事を手伝わなきゃ”と言って帰っていった。

メフィストはというとAにダル絡みしていたが全く相手にされていなかった。
最後は“奥村くんと教室に戻りますので”とAに一刀両断。

「ところでナアマさんはいつから理事長と知り合いなの？」

『いつから…つい最近、かな？忙しくて理事長室まで行けないって叫んでる先生が居て、
　そこを通りかかった私が資料を持たされて――その流れで昼食をとることになって』

雪男は思った。
どこをどうしたらその流れで一緒に昼食をとることになるんだ、と。
フェレス卿の行動が読めないのはいつものことだが、
ナアマさんは断ることだってできただろうに、と。

「断らなかったんだね」

『正確に言えば〝断れなかった〟だけど』

そう言って困ったように微笑むAは美しかった。

フェレス卿が彼女に近づく理由は何だ？
見た限り悪魔が見えるわけではない。
祓魔師(エクソシスト)ではないだろう。

「断れなかった？」

『うん。色々あってね』

学園一の美少女と噂されている彼女。

立ち振舞いも優雅で美しく育ちの良さを感じさせるが、
隣の席になったことで雪男はAの少しドジな部分も見てきた。

使っている万年筆のペンをよく無くして探している所を知っているし、
教室に向かっている今も前方不注意で壁にぶつかりそうになっていた。
雪男が止めなければ確実にぶつかっていただろう。

悪い人ではないというのは分かってる。
けれどフェレス卿に目をつけられてる時点で彼女は普通の人ではない。

「ナアマさんも大変だね」

『今日見ただけでも奥村くんの方が十分苦労してるよ』

そう言って笑う彼女は何者なのか。

――取り合えず今は仲の良い同級生だ。
…フェレス卿が関わる相手なら兄さん(青焔魔の落胤)にとっての敵か味方かもわからない。