恋は盲目、愛は執着【青の祓魔師】 (ページ27)

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第26話噂の美少女ページ27

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「にわかに繁盛してきた…!!」

そう言って喜びながら昼食を作っている燐。
調理実習室の前にはAが案を出しそれを基に雪男が書いた看板が立ててある。
燐が扉に貼った"ランチ"が別の単語に見える紙は外してごみ箱へ捨てた。

看板娘を任されたしえみは給仕係として燐が作った昼食を生徒へ運んでいる。

よっしゃー！稼げる!!と燐が、心の中で叫んだ瞬間だった。
調理実習室の扉が開く。

「らっしゃいま――」

燐は目の前に広がっている光景に絶句した。
燐の視線の先に立っていたのはひとりの女子生徒だ。

ふわりと揺れる長い髪は、闇を取り込んだかのような黒色だが、
光の当たり方によって紫色にも見え神秘的だ。
瞳は透明感があり光に照らされキラキラと宝石の様に輝いている。

雪の様に白い肌と、桜色の頬。
林檎の様に鮮やかな赤い唇。

可愛いと綺麗が両立している顔立ちだ。

まるで人形のように整った出で立ちのAに、燐は勿論のこと
同性のしえみさえも目を真ん丸にして見惚れていた。
雪男は毎日顔を合わせて慣れていたので、なんともなかった。

生まれてはじめて見る絵に描いたような美少女の姿に
燐は昼食を作り生活費を稼いでいることを忘れ、まんまと目を奪われていた。

『奥村くん、まだ席は空いてるかな？』

その美少女に話し掛けられているのだと気付くまで、時間にして数十秒。
鈴が転がるような心地のいい声をしている。
燐はハッと我に返ってから、重要なことに気付いてしまった。

「あ、え、えっとー」

「こんにちは、ナアマさん。こちらの席が空いてるよ」

「!!?」

そう。Aに話しかけられたのは燐ではなく雪男。
Aは雪男の双子の兄を見に興味半分、面白半分で調理実習室へ来た。
それ故に燐が雪男の兄だということは知らない。
料理道具を使っている点から燐が雪男の話していた兄だとわかったが、似てないなとAは思った。

「雪男、お前知り合いなのか⁉」

「うん。彼女は僕のクラスメイトだからね」

『初めまして、A・ナアマです。
　宜しくね奥村くん…は被るから燐くん？でも良いかな』

「お、おう…。A、よろしくな！」

奥村くんは異性にモテるけど、燐くんは友達にモテるタイプだな…とAは思った。
Aが来たことによりいつの間にか他の生徒がいなくなっていたので、
実質Aの貸し切り状態となってしまった。