天喰さんと本音 ページ7
突然の言葉は、その場に似合わず────とても静かだった
"無個性"
聞き慣れない単語に、思わず息を呑む
「今どき珍しいよねぇ、無個性
昔からそれだけで悔しい思い、たくさんしてきた
今は就職も個性が無いと難しくて…だから私は大学まで行ったの
私は…、誰より頑張らなくちゃいけなかった」
ぽつり、ぽつりと、Aが言葉を、思いを、小さな声で吐き出していく
「だけど、どこの事務所にも嫌な顔された
絶対思われた、"無個性"なんか使えないって」
普段、どこか抜けていて、明るいAからは想像のつかなかった話に、天喰は耳を傾けていた
一言一句、聞き漏らさないために
「────だから、ファットガム事務所に内定貰って、すごく嬉しかった
ファットガムさん、無個性でもいいって、君に来て欲しいって言ってくれた
それで今、こうして就職できて、天喰さんにも出会えて
────すごく、すごく幸せ」
此方を見てAが微笑む────その、心から幸せそうな笑顔に、胸が痛む
(…どれだけ、頑張ってきたんだろう)
臆病で個性が上手く使えなかった自分とは違う、田畑さんは、この理不尽な社会と闘ってきたんだ
なんて声を掛けたらいいかわからず、ただ黙っていると、またAは言葉を紡ぎ出した
「小さい頃は、こんな社会嫌だーっ！って思ってた
だけど、ヒーローを初めて生で見て、人を助ける姿を見て
『嗚呼、個性をこんなに素敵に使う人がいるんだな』って」
Aの言葉に、胸が熱くなる
「私はそんなヒーローを影から支える存在になりたくて
…それでヒーロー事務所に勤めたかったんだ」
恥ずかしそうに笑うAに、天喰は気づけば肩を掴んでいた
「田畑さんは…、田畑さんは凄いよ」
無意識のうちに言葉がするすると出てくる
ぼうっと此方を見つめるAに、天喰は伝えたかった、言わずにはいられなかった
「今の話を聞いて…、本当に努力してきたんだなって
個性がなくても、田畑さんは────」
こんなにも人の心を動かすんだ
そう言おうと口を開いた、そのとき
「────────すぅ、」
「……え？」
すぅ？
よくよく見れば、先程まで此方を見つめていた瞳はすっかり閉じていた
「………寝てる」
安堵したような、少し残念なような気持ちに包まれ、天喰はため息をついた
「…よく頑張ったよ」
天喰はそう呟いて眠るAに微笑んだ
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天喰ルナ - 天喰推しにはたまんない、、、最高です！！最後まで見ます！！ (2021年1月12日 17時) (
レス) id: e8de5457df (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 一姫さん» すみません、スタマイではありません…。私が考えた架空の製薬会社名なのですが、同じような名前の会社があるのでしょうか？ (2019年12月17日 18時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
一姫 - 夏目製薬って、もしかしてスタマイですか？！.｡.:*･'(*°∇°*)'･*:.｡. (2019年12月17日 14時) (レス) id: 2938947de7 (このIDを非表示/違反報告)
一姫 - 夏目製薬って、もしかしてスタマイですか？！.｡.:*･'(*°∇°*)'･*:.｡. (2019年12月17日 14時) (レス) id: 2938947de7 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 林檎さん» コメントありがとうございます！一応ではありますが完結しました！続編もこれから書いていきますので、見てくだされば幸いです！これからも更新頑張ります！ (2019年2月22日 20時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あろま
| 作成日時：2019年2月10日 21時
