天喰くんとピンチ ページ16
復帰後三日目、ファットガムはここ数年で1番悩んでいた
(…食欲出ぇへん)
というのも、食欲が出ないのだ
脂肪を使い切って太らなくてはいけない状態にあるにも関わらず、好物のたこ焼きがあるにも関わらず────食欲が出ない
(…あかん、このままだとヒーロー活動出来ん！)
あの事件以来何事もないからいいものの、イザという時活躍出来なければ意味が無い
「あかん…」
ズルズルと椅子にもたれ掛かるファットガムの耳に────「天喰くん」
ハッと見れば、小柄なAが天喰を呼び止めていた
「あの、この書類、出来たので」
「ああ、ありがとうAさん」
天喰くん、Aさん
その呼び名からは、以前とは1歩近づいた2人の距離が感じられる
初めは2人がどうなるのか見守っていくのが楽しみだったはずなのだが
(────なんか、変や)
少しだけ、自分の中に、少しだけ、"近づいて欲しくない"と思う気持ちがある
(…なんか飲んで落ち着くか)
やり場のない思いを晴らそうと、ファットガムは給湯室へ向かった
「あ、ファットガム、何か飲みます？」
向かった先には、複雑な心境の原因となっているAがいた
(なんでおるねん！)
半分嬉しく、半分残念に思いつつ「あー」と頬を掻く
「あー、ココア飲むわ」
「ココア美味しいですよね！入れますよ」
カップを用意する彼女は、太っている時も小さいと思っていたが、今でも小さい
準備をしながらAは話しかける
「ファットガム、太らなくちゃいけないんですよね？」
「せやで、まぁ個性上しゃーないねんけど」
「じゃあココア砂糖いっぱい入れておきます」
ココアに砂糖を入れ、くるくるとスプーンで掻き混ぜる
「…でも、少し残念です
今の姿が見れなくなるの」
少しトーンの下がった、寂しそうな声音に、心臓が一際大きく高鳴った
(…んで、そないなこと言うねん)
わかった、何故食欲が出ないのか
太りたく、なかった
(田畑ちゃんの…いや、Aの言葉が嬉しかったから)
自然と、身体は動いていた
「出来ま────────」
からん、スプーンが、床に落ちて音を立てた
気づけば、その小さな身体を後ろから抱き締めていた
「そないなこと言うたら…、俺、勘違いしてまろうやろ」
(認めるつもり、なかったんやけどな、この気持ち)
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天喰ルナ - 天喰推しにはたまんない、、、最高です！！最後まで見ます！！ (2021年1月12日 17時) (
レス) id: e8de5457df (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 一姫さん» すみません、スタマイではありません…。私が考えた架空の製薬会社名なのですが、同じような名前の会社があるのでしょうか？ (2019年12月17日 18時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
一姫 - 夏目製薬って、もしかしてスタマイですか？！.｡.:*･'(*°∇°*)'･*:.｡. (2019年12月17日 14時) (レス) id: 2938947de7 (このIDを非表示/違反報告)
一姫 - 夏目製薬って、もしかしてスタマイですか？！.｡.:*･'(*°∇°*)'･*:.｡. (2019年12月17日 14時) (レス) id: 2938947de7 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 林檎さん» コメントありがとうございます！一応ではありますが完結しました！続編もこれから書いていきますので、見てくだされば幸いです！これからも更新頑張ります！ (2019年2月22日 20時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あろま
| 作成日時：2019年2月10日 21時
