4-2 ページ13
.
「皆さん！ 撮影始まりますよ！ こちらに集合してください！」
スタッフの呼び声が掛かり、メンバーたちは撮影チームの元へと集まった。
「まずは全員のシーンから撮影します。
今から指示する順番に、コンテナに登って腰掛けてください」
スタッフに誘導され、ジョングク、ユンギ、ジミン、A、ホソク、テヒョン、ナムジュン、ジンの順番にコンテナに登り、腰掛けた。
「意外と高い……」
コンテナに腰掛け、足をぷらぷらと揺らしながらAが言う。
ふわりと吹いた風が、その少しだけ長くなった黒髪を揺らした。
JH「レン、寒くない？ その恰好」
ホソクがそう言うと、Aは「まぁね」と微笑んだ。
今回のAは、幾何学模様の入ったゆったり目の白シャツに、ひざに大きなダメージが施された薄色デニム、という井出達だ。
これまでになく爽やかさと色っぽさを前面に押し出した衣装だが、春とは言えまだ肌寒い今の時期には不釣り合いである。
「それを言うなら、ジミナとナムジュニヒョンが一番寒そうだよ」
そう言われ、ホソクは確かに、と笑う。
二人に至っては半そでを着させられている。
「そこ！ しゃべらないで！」
半そで組を見て苦笑するホソクとAに、スタッフのお咎めが飛ぶ。
二人は顔を見合わせ、まるでいたずらっ子のようにニヤリと肩を竦めたのだった。
***
新たな楽曲は、これまでにない試みの連続だった。
まず、ダンスを完全封印したＭＶ。
そのかわりに彼等は本格的な“演技”に挑戦し、ＭＶでひとつの物語を完成させたのである。
ＭＶの中で“不良少年”と化したメンバーたちは、大人と子供の狭間にいる少年たちの危うさと儚さ、苦悩を惜しみなく表現していた。
それは、まるで一つの青春映画のようだった。
更に、楽曲の雰囲気もガラリと変わった。
代名詞だったヒップホップを出来る限り抑えた、ポップ色の強い楽曲。
特にフックのボーカルラインが、それまでになくメロディアスな仕上がりとなっている。
――ＢＴＳを大きな存在に。
そんなパン・シヒョクの思惑がふんだんに詰められた、今回の作品。
公開まで、あと数日に迫っていた。
「シヒョクさん。これでいいのですか、本当に」
「そう心配するな、ミンソク。
……すべては、計算の上だ」
事務所の一室で、シヒョクは表情を変えることなく言う。
それをミンソクは、どこか腑に落ちない様子で見つめるのだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 389人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
グミカン(プロフ) - ポンポネッラさん» ポンポネッラさん〜!! 今回もありがとうございます…!! 主人公色々吹っ切れちゃいましたが、そんな彼（彼女）に一体これからメンバーたちはどう思うんでしょうか……!! たぶん作者の趣向的に一筋縄ではいかないと思いますが(笑)、今後も楽しんで頂けるよう頑張ります!! (2019年11月12日 18時) (
レス) id: 0414f38cc7 (このIDを非表示/違反報告)
グミカン(プロフ) - 閔さん» コメントありがとうございます〜!! 最初からお付き合い頂いているということで……!! めちゃくちゃ嬉しいです……!! これからも読んで頂けるよう、更新頑張りますね。。ありがとうございます!! (2019年11月12日 18時) (レス) id: 0414f38cc7 (このIDを非表示/違反報告)
ポンポネッラ(プロフ) - 続編作成おめでとうございます〜！ おっと……？もしやここにてメンバー達の恋愛感情に少し変化が……？！何だか怪しい展開ですね (wkwk) 今後もドキドキしながら読ませてもらいます。更新頑張ってください！ (2019年11月11日 10時) (レス) id: 96af192ec7 (このIDを非表示/違反報告)
閔(プロフ) - 4章にもなって初めてのコメントですが...今までずっと読ませていただいていました。自分的には1章が出されてすぐ見ていた気もしますが......いてもたってもいられず、コメントしました。すごく魅力的なお話で大好きです！これからも頑張ってください。応援してます！ (2019年11月10日 19時) (レス) id: 61c94025e1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：グミカン | 作成日時：2019年11月10日 19時
