4-2 ページ16
.
予想だにせぬアイリスからの称賛に、戸惑いを隠せないテヒョン。
彼は数日前から喉の調子が悪く、全力が尽くせないでいた。
だから、まさかそんな言葉をかけられるとは思っていなかったのだ。
続いて、ジョングクの評価を始めるアイリス。
ジョングクは途中の高音を上手く出せなかったことを悔やんでいた。
「出来ないと思わなくていいのよ、ジョングク。本当は、貴方は出来るんだから」
その言葉に、ジョングクは目を見開き、深く頭を下げた。
実を言うと、練習生の頃から歌が苦手だったジョングク。
ゆえにアイリスからもたらされた一言は、彼の心に強く刻まれた。
「それと、あなたはユンギだったわね。あなたはもう自分だけの音楽を持っているようね。だから、もっと自信を持ちなさい」
アイリスがそう言うと、ユンギは静かに、けれど確かな声で「はい」と答えた。
防弾少年団に入ってから、歌が、そして時々音楽そのものが、楽しくないと感じることが度々あったユンギ。
しかしアイリスの言葉が、彼の心の奥底に強くあった「楽しい」を再び呼び起こすこととなる。
「それと最後に……あなたは……」
「『レン』です」
「レン。あなた、少しだけハスキーで、中低音の独特な歌声を持っているわね。
とてもいいものを持っていると思うわ。
けれど……どうしてかしら。
わたしはあなたの歌声を聴いて、少しだけ胸が抑えつけられるような、苦しさと圧力を感じたの」
慎重に言葉を選びながら、そう説明するアイリス。
Aは、それをいつも通りの表情で、冷静に聞いていた。
すると。
「そう。その表情よ。
あと、あなたは来た時わたしを見てすごく興奮していたように見えたけど、すぐに落ち着いていたわね。
別に悪いってわけじゃないんだけど、なんというか……。
わたしはあなたから、すごく抑圧された何かを感じる。
それが、歌声にも出ているわ」
言ってアイリスは立ち上がり、Aの前でしゃがみ込む。
そしてゆっくりと、優しい手つきでAの腕を掴んだ。
――あなた……何か、自分の中で強く我慢していることでもあるんじゃない？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 420人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
グミカン(プロフ) - hさん» コメントありがとうございます…!! わわ、楽しみに待っていただける事、嬉しく思います…!! これからも楽しんで頂けるよう頑張るので、お付き合い頂けると嬉しいです…!! (2019年11月12日 18時) (
レス) id: 0414f38cc7 (このIDを非表示/違反報告)
h(プロフ) - お疲れ様でした！次も楽しみ〜！ (2019年11月11日 8時) (レス) id: 9473de3ca6 (このIDを非表示/違反報告)
グミカン(プロフ) - シオンさん» コメントありがとうございます〜！嬉しいお言葉、ほんとうに励みになります！TT わわ…!! ご指摘ありがとうございます!! スンシム氏、読者の方には申し訳ないです…!! すぐに書き換えさせて頂きますね…!! 今後ともお付き合い頂けると嬉しいです。。 (2019年11月7日 19時) (レス) id: 0414f38cc7 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - はじめまして! オススメから読んでみたら面白くてイッキ見してしまいましたw これからどうなっていくのかスゴく気になります！ 1つだけ気になったのがヨンタンって書いてましたが、その頃はまだ居ないのでスンシムの方がいいのでは？と思いました。更新楽しみにしてます (2019年11月7日 14時) (レス) id: 761c706174 (このIDを非表示/違反報告)
グミカン(プロフ) - かむたんさん» コメントありがとうございます〜TT そう言って貰えて、とても嬉しいですし感謝です…!! これからもお付き合い頂けると、幸いです。。 (2019年11月3日 11時) (レス) id: 0414f38cc7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：グミカン | 作成日時：2019年11月2日 18時
