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「……女が、ナムジャグルにいるのが？」
未だ聞き慣れない、爽やかな人間の幾分か低い声が、背後から届いた。
JK「……」
ジョングクは動きを止め、突然現れた人物を唖然と見つめる。
ジョングクを揶揄っていた他のメンバーも、表情を強張らせてゆっくりと振り返った。
「おかしい、って？」
いつの間か事務所の入り口まで辿り着いていたらしい。
コンビニ袋を抱えたメンバー達は、そこに立つAの姿を見て、言葉を失った。
「ジョングギ、知らなかった？」
言いながらAがゆっくりと、ジョングクに歩み寄る。
そしてふいに、Aの細くも力強い腕がジョングクの手首を掴んだ。
いくら心は男でも、体は女。
力の差は歴然としているはずだが、なぜか手を振り払うことができないジョングク。
そして……
――ぴたり。
「防弾少年団に、“女”はいないんだよ」
ジョングクは目を丸めて、自分の手を見る。
いつの間にか、自分の手の平が、Aの“胸”に添えられていた。
JK「……っ！」
Aの行動に驚くジョングクと、６人のメンバー達。
Aは少しだけ微笑みを浮かべながら、低い声で言った。
「ジョングギ。……分かる？ 僕が何も感じてないこと」
服越しに伝わってくる、Aの心音。
それはゆっくりと、規則正しいリズムを刻んでいた。
JK「……なんで、」
Aの体は“女”のはずだ。
けれども今、手の平が触れている場所は平たく、硬い。
しかも、心も体も“男”の手に触れられていながら、Aの心臓は平然としている。
普通、“女”なら……。
「……なんで？
それは……僕が“男”だからだよ」
Aがするりとジョングクの手を解放する。
その様子を、他のメンバー達はぽかんと口を開けて眺めていた。
「防弾少年団にいるのは、“男”だけだ」
そう言い残して、事務所の中へ去っていくA。
ジョングクは未だ感触の残る手を呆然と宙に浮かせたまま、その後ろ姿を見つめる。
JK(どきどき……してなかった)
その顔立ちと、なんでも卒なくこなしてしまう器用さから、沢山の女子たちをときめかせてきたジョングク。
そんな彼に胸に触れられて、顔を赤らめない女などいないはず。
にも関わらず自分から触れさせて、更には終始平然としていたA。
それが、脳裏に焼き付いて離れない。
JK(なんだ？ この気持ち……)
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作者名：グミカン | 作成日時：2019年10月14日 2時
