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――
TH「あのさぁ、A」
「テヒョン。どうした？」
スタジオを出たメンバー達が宿舎に戻る最中、テヒョンはずっと疑問に思っていたことを問いかけた。
TH「いつも思ってたんだけど、Aってシャワーどこで浴びてんの？」
それは、男として、身体が女のAに対する純粋な疑問だった。
「み……皆が寝てからだけど？」
あくまでいつもの天使の微笑みを浮かべているAだが、その表情はわずかに引きつっている。
やはり、こればっかりは"男同士"のようにはいかないらしい。
TH「寝てから？ ……Aさぁ、一体いつ寝てるの？」
夜中に終わって、宿舎の面々がお風呂に入るのは大体日が越えたあたりだ。
シャワールームは幾つかあるが、それでもメンバー含め、他の練習生を含む大人数のシャワーが終わるまで待っていたら、寝るのは２時よりも遅くなるはずだ。
しかしAは、７人のメンバーの誰よりも早く起きる。
それは代表から与えられたミッションがあるためだが、毎朝天使のように爽快な微笑みを見せるAから寝不足の気を感じたことは一切ない。
「まぁ、睡眠時間は結構短いかな……。でも、身体が"女"である僕がボーイズグループでデビューできるかもしれないって考えたら、これくらい我慢できる」
そうは言っているが、なるほど、よく見てみれば目元にうっすらとクマが出来ている。
相当負担がかかっているのだろう。
それでもその気を今まで一切感じさせないようにしてきたAは、なんて強いのだと思うと同時に、一応女の子なんだから……と心配になる自分がいるのが正直なところ。
TH「……ねぇ。よかったら、今日は僕の先に入ってよ」
「え？ いや、それは」
TH「誰にもばれないように、僕が見張っててあげるよ。ね、いいでしょ？」
テヒョンがそう言ってまるで子犬の様に目を潤わせると、Aは困ったような笑みを浮かべた。
「……ずるいな、テヒョンは」
まるで降参しましたとでも言うかのように頭を掻き、Aは着替えを取りに行くと言って部屋の中へと消えていった。
テヒョンは、一人残された廊下で、少しだけ動揺していた。
TH(まさか、オッケーするとは思ってなかった……)
もちろん、テヒョンの提案はAへの気遣いが殆どだ。
だが反面、テヒョンはただ"女"としてのAをもっと見てみたいような、妙な悪戯心が湧いていた。
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作者名：グミカン | 作成日時：2019年10月14日 2時
