Life of BTS はじまりの鐘 (ページ26)

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12. Side テヒョンページ26

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秋に入り、肌寒さの増した10月。

この日も夜中まで続いていたダンスのレッスンがようやく終わり、メンバー達はスタジオの中で汗を拭きながら談笑していた。

Aがやって来て二か月余り。
ホソクやジミンは相変わらずAとダンスの話で盛り上がっている。

ナムジュンは先日のオフにAと二人で出かけたらしく、以来随分と打ち解けた様子でAと話すようになった。

ジンに至っては、最初からAが女だとか男だとか気にせず、自分達と話すときと同じように明るく声をかけている。
ただ、彼はああ見えてこちらも驚くほどにレディーファーストな人間で、時折Aに気遣いを見せているあたり、完全に男だと思っているわけではなさそうだ。

ユンギは元々お喋りな性格じゃないから、あまり話していなくても違和感はない。
彼の場合、女だからとか以前に、新しく現れた人間にまだ人見知りしているだけだ。

問題なのは、ジョングクだ。
彼は相変わらずAと話そうとしないし、未だ強い警戒心をむき出しにしている。
防弾少年団に人生がかかっていることを思えば無理もないが、それにしてもだ。

テヒョン自身、完全にAを"男"だと認識しているわけではない。

いつもゆったりとしたジャージで身体のラインを隠しているところや、清潔にしているところ、食べ方が綺麗なところ。
そんな些細な部分から感じるのは、Aの"女"としての一面だ。

それでも、半分以上はもう"男"だと思えるようになった。

それは普段のAからも垣間見ることができるが、何よりAが"男"に見えるのは、ダンスをしている時だろう。

女の身体でありながら、Aはメンバーの誰よりも獰猛な色気を放つ。
最初はそれをジミンと比べて見ていたが、もはや比べるものではないと悟ったのは、以前の評価で、パン・シヒョクの目の前で一人で踊っていた時だ。

その時、Aはかの有名なバンド『Queen』のDon't Stop Me Nowを踊ってみせた。

速いテンポの曲で、まるでフレディが憑りついたかのような灼熱の舞を披露したA。

あのパフォーマンスは、絶対に"女"にはできないものだった。

アップテンポで、熱く滾っているのに、どこか切なさを感じさせる、独創性に溢れたAのダンスを見て、テヒョンは確信した。

彼女の、いや、彼の中にいるのは、男だと。

ただそれでも、テヒョンはAを敢えて"男"扱いしなかった。