Life of BTS はじまりの鐘 (ページ24)

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ナムジュンは、Aを連れてソウルの街へと繰り出していた。

RM「食べたいものはある？焼肉とか、キムチとか」

「う～ん、どれも美味しそうだけど……あぁ、そうだ。サムギョプサル。あれを食べてみたいです」

丁度道路を挟んだ向こう側に見えたサムギョプサルの店を指差し、微笑むA。
その姿を、ナムジュンは終始不思議そうな面持ちで眺めていた。

「どうしたの、ヒョン。フリーズしてるけど」

RM「あぁ？ ……うん。いや、やっぱり信じられなくて」

そう言うと、Aは相変わらず例の微笑みを保ったままクスリと鼻を鳴らした。

「それは僕が本当に女なのか、本当に男なのか……ってことですか？」

身体は女で、心は男。
そんな人物が目の前に立っているなどやはり信じがたい光景ではあるが、これは現実だ。

恐らく本人は随分と苦労して生きてきたに違いない。
自分の発言に深い意味はないが、相変わらず表情を崩さないAに、ナムジュンは安堵する反面、不愉快な思いをさせてしまっただろうか、と心配する。

「別に気にすることじゃないです。僕自身、ずっと変だと思って生きてきましたから」

Aの身を包む彼の私服は、どれも少しばかりゆったりしているものばかりだ。

ダメージが控えめに施されたデニムからは、素足はほとんど見えない。
Ｔシャツもメンズのものを着ているようだが、ダボダボでサイズが合っていないようにも見える。

幸い、女性にしては身長のある方だから、似合ってはいる。

彼の正体を知らない者は、背の低い男の子、くらいにしか思わないのだろう。

RM「前から思ってたけど、Aって美的センスいいよね」

先程の発言に対する上手い返しが思いつかなかったナムジュンは、話を逸らすように言った。

「そうですか？……自分ではそうは思わないけど、時々言われます。でも僕からしてみれば、ヒョンの方が断然かっこいいですよ」

まさかの褒め返しに、流石はAだ、とナムジュンは思った。

確かにナムジュンのファッションセンスは周囲からも定評があり、自分自身もそう思っていた。

そんな彼から見ても、Aはセンスがいいと思う。

ダンスやファッションのセンスも然ることながら、頭からつま先まで彼女のセンスはきらりと光っていた。