趣味で歌い手やってたんですが、【stpr】

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さ「半ば無理やり連れてきちゃったけどさ、…やっぱ歌うの嫌だった？」




申し訳なさそうに伏し目がちに言うさとみくん。


するとなーくんも続けて「強引に連れてきちゃってごめんね」と謝ってくる。





『ち、違う違う！嫌で泣いたわけじゃないから』





まるで怒られて項垂れるわんこの様でこちらの方がいたたまれなくなってくる。





『人前で歌うのなんて久しぶりで…こう、気持ちが昂ってしまったというかなんというか』




なんでこんなにしどろもどろなんだ。


気持ちの整理をつけなきゃ、そう思って一呼吸置く。









『歌い手を始めたのは本当に歌が好きって気持ちだったんだけどさ、気が付いたらたくさんの人に聴いて貰えるようになっていて』




『わたしの歌を好きだって言ってくれる人が多くて素直に嬉しかったんだけど、登録者数が伸びれば伸びる程その勢いに気持ちが追いついていかなくなっていって』




『応援に応えられる様にって頑張ってきたつもりなんだけど、いつの間にか”mono”を演じなきゃって思うようになっちゃって、』









ここまで話して言葉が詰まる。


ダメだ、やっぱり上手くまとまらない…




それでも二人とも何も言わず、真剣に聞いてくれている。


大丈夫、二人は応えてくれる…勇気を出さなきゃ。









『…わたしの歌を”A”として聴いてくれて、認めてくれたのが嬉しくて』





『ああ、歌で人を笑顔にさせられている、わたしはわたしとして歌っていいんだな、って思って。…だから』









――今日は、一歩踏み出させてくれてありがとう。









そう言うと、二人はお互いの顔を見合わせた後









「「どういたしまして」」








花が咲く様な笑顔を向けてくれた。






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