趣味で歌い手やってたんですが、【stpr】

・ ページ17

.






な「うーん…でもさ、さとみくんの友達とは言っても俺がリスナーさんと個人的に会うのは良くないと思うんだけど？」





リスナーとのコミュニケーションは平等にとるべき、だと思う。


いや、彼女がさとみくんと友達として会うのは別に構わない。


だけど、リスナーとしてメンバーと会わせる行為は贔屓になってしまう気がする。







Aさんが気まずそうにさとみくんと俺を交互に見ている。


正直彼女には申し訳ないけど、ちゃんとしておかなきゃ。






しかし、当のさとみくんは含みのある笑みを浮かべていた。









さ「いや、Aの事はリスナーとして会わせたかった訳じゃないんよね」

な「…どういう事？」







依然としてはっきりとしない態度につい苛つきが出てきてしまい、ピリ、とした空気が流れる。








さとみくんもそれは察しているんだろう、「まー待ってよ」と宥めてくる。








さ「あ、A」

『はっはい』

さ「YouTube開いて」






話を振られてAさんの肩がびくりと揺れる。


編集画面ね、と言われ戸惑っていたけど、早くと急かされ慌てて鞄からスマホを取り出している。







え、何、AさんYouTuberなの。



…でも、俺の記憶の中にAなんて名前はない。







タップとスワイプを何度か繰り返し、目的の画面まで到達したんであろうAさんがこちらを見る。


その目には迷いの色。


しかし、一呼吸おいて意を決したのかスマホをテーブルに置いてスっとこちらに差し向けてきた。









――――、









――――――――、









――――――――――――――は、









今、置かれている状況に、頭の中での処理が追いつかない。









YouTubeの編集画面、そこには"モノクロchannel"の文字が映っていた。





.

サプライズ→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す