趣味で歌い手やってたんですが、【stpr】

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side.you








不意に右肩を叩かれ、思わず心臓が跳ねる。


反射で勢い良く振り向けば、ニヤリとしたり顔のさとみくんが立っていた。









びっ、





『……っくりしたあ、』





ワイヤレスイヤホンを外しながら詰めていた息を吐き出せば、


さとみくんは喉をくつくつと鳴らして笑いを堪えている。








あー、これはわかっててやったな。




ついじとりと睨み付ける。






『意地が悪いですよさとみさん』

「悪い悪いw 声掛けても気づきそうになかったからさ」

『LINEしてくれればお店出たのにー』

「待たせてんのにんな余裕あるかよ。

…久しぶり、A」





そう言ってへらりと笑うさとみくん。


普段は大人っぽい彼が少し幼く見える。





『ん、久しぶり』




イヤホンとスマホを鞄にしまい、席を立った。


出口付近に設置してあるゴミ箱にプラカップを捨て、二人で店を出る。


さとみくんが先導して歩ってくれているので私は何も考えず付いていく。





「来んの早かったな」

『いやー渋滞見越して早めに出たんだけど思ったほどじゃなかったんだよね』

「なに、今日車？」

『ううん、今日は高速バス』

「あーね」





茨城近いからね、車でも全然来れちゃうから買い物したい時とか荷物が多くなる時は車で来てる。


今日はさとみくんにおまかせプラン。


おまかせ、というか、「俺に任せろ」としか言ってくれなくて何の計画も立てられていない。


唯一言われたのは集合時間だけ。



帰りのバスは予約してないけど明日も休みだし、終電だけ頭に入れておけば電車もあるし問題ないでしょう。







『ねーどこ行くの？』

「ランチ予約してある」

『おー、スマートだねえ』




「まあ、まだ結構時間ありますけど？」






ちら、と横目で見てくる。


う、言葉に含みがある…。





『それはごめんって…』

「別に怒ってねーよw」




少しぶらつこうぜ、と駅構内のショッピング施設の方に足を向けだしたさとみくん。









意地悪は言うけど、なんだかんだいって優しい。








『そうだね』





私は少し先を行くさとみくんの隣に駆け寄った。





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