足湯とグルコース ページ17
Aside
「あっつ!」
なんだこの熱さ。マグマか?
と思ったけれど、案外いい湯加減だ。
4989「あー、もう最近疲れちゃってさーw」
「まあ、細菌は入ってきてない方じゃない?」
4989「うん、ウイルス感染細胞もいないし。」
「平和だねー」
4989「そうだねー。ところで横いい?」
「あ、うん。」
4989番は、私の横にゆっくりと腰かける。
「二人で喋るのめっちゃ久しぶりだね。」
入院中は、4989番と大喧嘩しただけだった。
こうゆうプライベートでポジティブな会話したのは何年ぶりだろうか。
確かそのとき4989番と、ある約束をした気がするのだがなんだったっけ。
4989「あのさ、俺、言いたいことががあるんだけど。」
「ん?なーに?」
4989「ん、やっぱ何でもない。」
「え、なにそれww」
何を言おうとしたのだろうか。
「俺☆彼女できたんだ☆」とかだったら4989番を殴って返り討ちに会うだろう。
4989「そろそろ行こ!」
「いいよー!てか、後でグルコース食べない?」
4989「あー!いいね!久しぶりに食べよ。」
骨髄球のときはよく食べてたな。先輩に買ってもらったこともあったっけ。
足湯から出ると、絆創膏が外れかけている。よく見ると血が止まっている。
この足湯は、傷を癒す薬でも入っているのだろうか。
4989番と歩き出した。
時計を見ると最初は2時くらいだったのが、今は5時だ。
空はまだ明るい。
4989「A番は何味食べる?」
グルコース販売機の前に立って4989番は私に聞いた。
「まぁ、ぶどうか、オレンジだねー。」
4989「ふふっw骨髄球時代から何も変わってないねw」
「ダメですか!そういう4989番は緑膿菌味とかでしょ。4989番緑膿菌好きじゃん。」
4989「いや、好きだけど!俺が今日食べるのは、黄色ブドウ球菌だから!」
「結局細菌味食べるんか。」
4989番は昔から味音痴だ。
私は貪食はするが美味しいと思ったことはない。
だからグルコースも細菌系の味は食べない。
「よし!買うか。」
4989「待って!俺が買ってあげる!」
「え、いいよ、、、」
4989「え、もう二人分買っちゃったよ。」
受け取り口を見ると、黄色ブドウ球菌味とオレンジ味が入っていた。
「ありがと。」
4989「いいから、早く食べよ!」
受け取り口からグルコースを取り出し、包み紙をぺりぺりめくる。
オレンジの綺麗な色が目に入る。
美味しそうだ。
二人でグルコースに噛り付き、しばらく4989番と雑談をしていた。
続く お気に入り登録で更新チェックしよう!
最終更新日から一ヶ月以上経過しています
作品の状態報告にご協力下さい
更新停止している| 完結している
←完璧!
6人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ここあめ | 作成日時:2021年8月29日 20時