レ ン タ ル 彼 氏 ≪ Daiki.S ≫

男2人の裏側は.。 ページ44

. Extra edition . ( 重岡くんside )



(( 詳しくは39話と40話をご覧ください ))









これは俺がAさんに会いにいくまでの裏側の話である。

俺は人通りの多い街で一人でぼーっと立ち尽くしていた。









『会いにいくって決めたのはええけど…俺Aさんのこと何にも知らんやん……』



とりあえず会ってこの間キスしたことを謝りたい。

でも言えるわけがない、Aさんがあまりにも可愛すぎたからついキスしてしまったなんて。



絶対きもがられる！！！！









Aさんがどこにいるか分からなくて困り果てていたとき遠くから"おーい！"という声が聞こえてきて。

慌てて振り返れば全力疾走でこちらに駆けつけてくるAさんの元カレの淳太さんがいた。









「はぁ…やっと見つけた……」



そう言って息を切らす淳太さんはこの間とは違い余裕のない様子だった。

"あ、あの…"と言う俺のことなんか気にも留めず淳太さんは俺の腕を引っ張っていった。









「Aのやつ毎日のように仕事ばっかりしてるねん」


「今日も休みやのに仕事してて…どうせ君もAに会いにいこうとしてたんやろ」



そう言った淳太さんはなぜか手を上げてタクシーを止めていて。

意味の分からない言動をする淳太さんに俺の頭の中ははてなでいっぱいだった。









「A帰ってまうかもしれへんから早く！乗って！」



そう言いながら俺を強引にタクシーに乗せた淳太さん。

そんな淳太さんは運転手に"西ビルまでお願いします"と言っていた。









『あの…なんで……』


「Aには君がおらなあかんねん」



俺の言葉にそう言った淳太さんはきっとモテるんだろうなと思った。

そんな淳太さんを差し置いてまでAさんは俺を選んでくれるのだろうか。









「頑張れ」



ドアを閉める直前そんな淳太さんの言葉が確かに聞こえてきて。

慌てて淳太さんの方を見れば優しく微笑んでいた。









『淳太さん！俺が振られたときは二人で鍋パーティーしましょうね！絶対ですからね！約束！』



慌てて窓を開けてそう叫べば淳太さんは最後まで手を振って見届けてくれた。









「ふはっ…なんかAがあいつのこと好きになる理由が分かった気がする」









俺が乗るタクシーが去っていった後、淳太さんがそんなことを呟いていたのは知る由もない。









END

＋ 作者の独り言 ＋→←レンタル43.。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す