レ ン タ ル 彼 氏 ≪ Daiki.S ≫

レンタル02. ページ2

あれから一週間。



ぼーっとした頭で会社に入る。

それもそのはず…つい一週間前に桃花にレンタル彼氏を登録されてしまったからだ。









『いくら何でもレンタル彼氏って……』



勝手にアカウント登録されてるし。

その後は彼氏のレンタルまでして勝手にメッセージのやり取りをしていたらしい。



そしてなんと今日その人と会うことになってしまった。









誰もいないエレベーターに入ってドアを閉めようとすれば誰かが"すみません！"と言って中に入ってきて。

慌てて"開"のボタンを押すと目の前には元カレの淳太くんがいた。








『「……あ」』



まさかこんなところで一緒になるなんて。

閉まってしまったエレベーターに少しだけ心臓がどきっとしてしまった。







今目の前にいるのが私の元カレの中間淳太くん。

今年30歳になる淳太くんは私と6つも歳が離れていて。



歳が離れていることもあってかお互いに分かり合えないことも多かった。









「じゃあ俺ここの階やから」


『あ、うん……』



"じゃ、また"と言ってエレベーターを降りていった淳太くんに少しだけ手を振る。

別れてからもこうして普通に接してくれる淳太くんは本当に優しい人だ。



でもその対応が少し寂しかったりもする。









≪ 一番人気のレンタル彼氏予約したから！ ≫


≪ なかなか予約受け付けてくれへんのに特別に承諾してもらったんやから絶対行くように！！ ≫



そんな桃花の言葉を思い出して。

私は誰もいないエレベーターの中でうなだれてしまった。







今は淳太くんのことよりレンタル彼氏の方が大問題だ。









今日の夜が憂鬱になる自分がいた。









.



その日の夜。



憂鬱な気持ちで会社を出る。

待ち合わせの時間まであと少しだった。









『このまま逃げ出したい……』



そう呟きながら待ち合わせ場所へ向かう。

人が多くてどこにレンタル彼氏がいるのか分からなくてとりあえず立って待つことにした。









「あの…Aさんですか？」



すると突然後ろから声をかけられて。

慌てて"はい…！"と言って振り返れば笑顔が可愛らしい男性が立っていた。









「初めまして、重岡大毅です」


「この度はレンタルしてくれてありがとうございます！」









そう言って微笑んだ彼は今から私のレンタル彼氏になる人だ。

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